マンション管理の部屋 -9ページ目

老朽対策、立ち上がる住民②

前回の続きです。

その前に、前回の記事にありました建て替えの際の

『保留床』について若干解説をします。


例えば今のマンションを建て替えるとき、新たしく建て直したマンションの

うち、自分の権利として新しくもらえる床(部屋)を

『権利床』といいます。


もし、前のマンションと同規模のものを建替えて、そっくりそのまま全員が移り住むとすると、

古いマンションの解体費用や新築費用も全て区分所有者の積立てた

『修繕積立金』
や、建て替えの際の『一時金』で賄わなければなりません。


そこで、登場するのが『保留床』です。

すごく簡単に言うと、今まで5階建で50戸だったマンションを、

建替えで7階建70戸にして、増えた20戸を分譲した資金を建替え費用に

充当します。この増えた20戸を『保留床』といいます。


ですから、保有床を多く取れれば取れるほど、区分所有者の負担が軽減される

ことになります。


しかし、前回の記事にもあるように保留床を確保できないマンションも多くあります。

『容積率』といって、敷地に対してどれ位の規模の建物を建築できるかという規制があります。

例えば容積率300%なら敷地面積の3倍の床面積の建物が建築でます。


しかし、既に容積率が目一杯の場合もありますし、さらに

『既存不適格』といって、例えば容積率が建築当時より減少していて、今の時点で既に

オーバーしている場合があります。


この場合、あとから規制が変わったので違法ではありませんが、建替える場合は

現在の規制に沿った容積率でしか建築ができません。


このような場合は建替えをしても保留床どころか、現状よりも小さなマンション

しか建てられず、区分所有者全員が入居できないことになってしまいます。


新聞記事にある

「半地下の部屋を作って保留床を確保した」

というのは、このような知恵を絞ってなんとか建替えを実現したということです。

前置きが長くなってしまいましたので、記事の続きは次回にします。

老朽対策、立ち上がる住民


日経新聞の朝刊で昨日より、『マンション誰のもの-「あした」に備え』という連続特集記事が組まれています。ご覧になられた方も多いかとは思いますが、この記事を紹介していきたいと思います。

(以下記事本文)

老朽対策、立ち上がる住民

新築マンションの供給ラッシュが続く首都圏。その裏側で中古物件の老朽化が進み、分譲主や管理会社とのトラブルも絶えない。迫り来るスラム化の危機にどう立ち向かうのか。地域社会の核であるマンションの「あした」を追う。

ベージュの外壁に浮かぶ傷、窓枠を覆う鉄錆び、一部が欠けたコンクリートの階段-。

東京・中野区の住宅街にひっそりとたたずむ「野方団地」。40年ほど前に国の公社は分譲した鉄骨4階建て二棟のマンションだ。

木造の低層住宅が周囲を囲むなか、当時は「ハイカラ住宅」として脚光を浴びたが、この10年間、雨漏れやガス漏れ事故が繰り返し発生した。

同団地の理事長である中根秀憲さん(53)は「水が濁り、コップをかざすと白い壁は赤く見えたこともある」と振り返る。

同団地は6月、ようやく建て替え工事に着手する。
約40人の区分所有者だけで建て替え組合を設立して事業主になる全国でもまれなケースだ。

建築規制の強化で建て直すとむしろ狭くなり、開発業者は「うまみがない」と尻込み。所有者が半地下の部屋を作って保留床を確保し、建設資金を調達するなど、自力で乗り越えた。

検討をはじめたのは15年前。中根さんら理事の間で「建て替えを前提に勉強しよう」と意思統一するだけで5年かかった。

「失敗したらどうする」「そっとして置いてほしい」-。考え方や意識の違いは大きく、その後も検討作業は一進一退が続いたが、「理事会の議論を団地内の住人全員に文書で配り続けた」(中根さん)ことで信頼関係を徐々に築き上げた。

  (以降、次回)


さて、記事の冒頭で「スラム化」といったショッキングな表現がでてきました。

「スラム化なんてまさか」「うちのマンションではありえない」を思っている人が多い

のではないでしょうか?

しかし、この「スラム化」はどこのマンションでもありえることなのです。


スラム化の簡単なシュミレーションです。

①当初の10年間は平穏にマンション管理が行われていた。

②10年を過ぎたあたりから老朽化が目立つようになり、理事会は修繕費の値上げを検討。

③多くの区分所有者が値上げに反対。

④老朽化は加速度的に進み、普通よりも短い築年数であるにもかかわらず、もはや建て替え以外に選択肢はなくなる。

⑤そのため修繕積立金が不足し、多額の一時金が必要となるが、区分所有者の合意形成がまたもや取れず頓挫。

⑥雨漏りや水道からの赤さびで、マンションは住める状況にはない。

⑦マンションを売ろうにも買い手がつかず、やむを得ず転居していく。

⑧区分所有者が離散してしまい、法的にも取り壊しが出来ない。


これでスラム化の完成です。如何でしょうか?現実離れしていますか?

次回は建て替えの難しさについて考えてみましょう。

セミナー出席報告

皆さんこんにちは。

ブログ開設から1ヶ月が経ちました。

いつも訪問してくださり、本当にありがとうございます。

これからも頑張って続けて行きますので、よろしくお願いします。


さて、昨日はNPO埼玉マンション管理支援センターが主催するマンション

問題勉強会に出席してきました。


テーマは2つあって、第1部は「理事会の年間運営スケジュール」

第2部は「決算書の見方」についてでした。


年間運営スケジュールでは、「意外と理事会の年間スケジュールの詳細な

雛型が無い」という要望から、同センターが立案方法についての提案を行っ

たものです。


この中で特徴的だったのは、建物の劣化調査を毎年行うという提案でした。

恐らく多くの管理組合では、大規模・中規模修繕を行う前年に劣化調査を行う

というのが一般的ではないでしょうか。

この毎年行う目的は、予防的な対処と修繕計画の次年度予算への適正反映を

目的としていています。


普通、大規模修繕を行う前の劣化調査では規模によっては100万円以上の

費用がかかりますが、この毎年行う調査は5万円~10万円程度で実施でき

る項目に絞ります。


要するに長期間経ってから『精密検査』を受けて

大手術を受けるのではなく、毎年『健康診断』

を受けて、「悪い所は『早期発見』して大事に至ら

ないようにしましょう」というものです。


二つ目のテーマの「決算書について」では決算書のチェックポイントなどの

解説のあと、管理会社との付き合い方、管理費の削減等についていろいろと

話しを聴きました。


ここでは特に「区分所有者間での合意形成」がとても重要であり、かつ困難で

あるという話しを聴きました。


購入動機は人それぞれで、例えば

「警備が非常に手厚い」ことを理由に買った人や、

「24時間有人管理である」ことで買った人に対して、

「警備費が高すぎる」、「有人管理の人件費が無駄」

だから管理を見直しましょう!といった理由では全く説得力がありません。


また、財閥系の管理会社より独立系の管理会社の方が費用が安くても、

「財閥系の管理会社なら安心」と思って買った人に対して

は説得力がありません。

このような見直しの場合、よほど管理会社が不正行為をしているような場合

以外は、『これが正解』というものは無いようです。


最終的には多数決となるにしても、日頃から意思疎通をはかり、一部の者だけで

強引に話しを進めるのではなく、多くの区分所有者が納得できるような

合意形成に努めることがとても重要です。


セミナーの詳細については、追々報告させていただきます。

管理会社は身内では無い!

区分所有者の大切な財産であるマンションの管理を任せる『管理会社』。


良好なマンションライフのためにもお互い信頼関係を構築することは大切です。

特に管理会社の窓口である『フロントマン』とは、十分にコミュニケーションをとりましょう。


しかし、いくら信頼関係があるからと言も注意しなくてはならないのが


『管理会社は身内ではない』

ということです。


管理会社はあくまで商売として管理業務を行っているわけで、決して親切なボランティアとし

ておこなっているわけではありません。

当然ですがこれは『ビジネス』なのです。

管理会社がガッポリ儲かるということは、反対に管理組合が必要以上の負担を強いられて

いることになります。

商取引ではお互いに駆け引きを行うことが一般的です。


例えばあなたが新車を購入しようとします。

車の値引き交渉であなたは、ディーラーの営業マンが最大いくらまで値引けるのかを探りま
す。

一方で営業マンはお客の購入予算が幾らなのかを見極めて交渉します。

そして、お互いの妥協額で契約成立となるわけです。

しかし、マンション管理契約の場合、

1.初めから管理会社が決められていて、競争原理
  がはたらかない。

2.しかも管理会社は管理組合の予算がわかっている。
  (お財布の中身を知っている。)


という特殊(非常識的)な事情があるのです。 


管理会社は管理組合の予算から自分の利益を引いた額の範囲で管理を行えば、赤字にな
ることはないのです。

しかも、管理内容は管理会社に『お任せ』というケースが圧倒的に多いのです。

このような状況で本当にフェアーな取引きができるのでしょうか?

管理会社が全てインチキをしているとは言いませんが、管理会社が圧倒的に有利であるこ
とは間違いないでしょう。


これではまるで、ご主人が給料を丸ごと奥さんに預けて、「もし次の給料日までにお金が余

ったら返してね」という、絶対にありえないことに期待を抱くようなものです。


ですから管理会社との良好な信頼関係の構築のためにも、管理組合は管理費の項目を詳

細にチェックして、予算を厳しく査定することがとても重要なのです。

マンションの管理は買えるのか?

『マンションは管理を買え!』と良く耳にします。


この『管理を買え』と言うフレーズは、マンションに住んでいない人でも知っているほどです
から、多くの人がマンションの管理は重要であるということを認識していると言えます。


マンション購入を検討する際、住宅情報や新聞の折り込みチラシと格闘された方は少なくな
いと思いますが、どのような部分を気にして読みますか?


立地条件や間取り、価額はもちろんです。

販売するデベロッパーも大きな要素です。

やはりアフターサービスの問題がありますから、なるべく名の通った会社の方が安心感が

あるでしょう。


あと施工会社を重要視する方もいます。

「やはり施工品質が第一、手抜き工事があったら大変なことになるから」

そうですね、手抜き工事を特集した番組などを見ると、基礎工事をごまかしていたり、スラブ
厚(コンクリートの床の厚み)が設計より薄かったりと、目を覆いたくなるようなものがありま

す。


「おれは何と言っても管理会社で選ぶよ。だってマンションは管理を買えって言うじゃないか!」

ということで、折り込みチラシの物凄く小さい文字で書かれている『物件概要』の【管理会社】
を調べては「ここは大手だから良い」「あそこはゼネコン系列だけど親会社の信用不安があ

るからダメ」と言っている人がいました。


ところが実は『マンションの管理』は買うことは出来ないのです。

マンションの管理主体はあくまでマンションの『管理組合』なのです。

管理会社は管理組合が業務を委託しているだけですから、未来永劫そのマンションの管理

をすることが確定しているものではありませんし、管理組合がしっかり機能していれば、出

来の悪い管理会社などさっさと変えてしまえばいいのです。


「しっかりとした管理会社を選べば安心だ」と勘違いをする人が多いですが、これは間違い

で、マンションの管理を買うということは『マンションの管理組合がしっかり運営され機能

している』ということなのです。


しかし新築のマンションでは、まだ管理組合が組成されたばかりなので、「管理を買う」という
ことは現実的には困難です。

ですからマンションは

『管理を買ってもらえるような管理組合にするために』

区分所有者全員が主体性をもってマンション管理に取り組むことが重要です。

マンションは「ゴーイング・コンサーン?」

ゴーイング・コンサーンという言葉を聞いたことがありますか?

ちょっと聞きなれないと言う方も多いと思います。

このゴーイング・コンサーン【going concern】とは会計用語で、「企業は継続することを前提としている」という意味で最近の新聞や経済雑誌などでは、かなりお馴染みの用語となってきました。私たちが毎日死のうと思って生活していないことと同じことです。

このように企業活動は将来にわたって継続しつづけることを『前提』として行われていきますが、私はマンションと言うものも、ある意味で「ゴーイング・コンサーン」であると考えています。

例えばマンションの新築時点で購入者全員が「今から60年後に、老朽化したマンションを解体して管理組合を解散しましょう」なんてことを決めたという話しは聞いたことがありません。(定期借地契約の場合は別です)

戸建住宅なら建替えをしなくても、更地にして駐車場するという選択肢もあります。
しかし、マンションの場合更地にしたところで敷地を所有者全員で共有することになりますから、規模の大きなマンションであれば一人分の土地の持分など微々たるものです。

ですから基本的にマンションには将来更地にするという発想がなく、老朽化した場合は『建替え』を検討することになります。

『マンションはマンションだから価値がある』のです。

わたしは「マンションは建替えてをしてでも『存続し続けることを前提』としている」ので、一種の『ゴーイング・コンサーン』であると考えています。

多くのの皆さんは『マンションの建替え』などということは他人事のように思われるかもしれませんが、ゴーイング・コンサーンである以上、避けては通れない道なのです。

ですから、長期修繕計画の見直しや、いつかは訪れる『建替え』のための合意形成の準備などが非常に重要になってきます。

マンションの格付け

古マンションの売却価格というものは、どのようにして決まるのでしょうか?
買い替えや転勤などで今住んでいるマンションを売却する場合、ほとんどの人はプロである不動産業者に依頼をして買主を探してもらいます。

まず、売主本人の『売却希望価格』というものがあると思います。
これは、ローンの残高や買い替え物件の値段によって、「これ位で売れればなぁ」という希望の価格ですね。

一方、不動産業者は実際に取引が成立しなければ手数料が入りませんから、実際に売れそうな価格をアドバイスします。この実勢価格の算定根拠は築年数や地価、近隣周辺の取引事例を参考にします。

いま、この実勢価格に『管理の質』が反映されようとしています。

マンションの場合は『管理』が非常に重要だということは皆さんご存じですが、中古マンションを購入する場合、この『管理の質』を客観的に知るにはどうすれば良いのでしょうか?

売主が管理費を滞納しているというような特殊な場合は、買主が不動産業者から情報を得ることができますが、管理組合の活動実績などは『実際に買って住んでみないとわからない』というのが現状でした。

マンション管理 格付けで評価
(国交省が来年度)
修繕記録や規約公開
中古市場 影響も

平成16年9月23日の日経新聞(朝刊)にこのような記事が掲載されました。格付けというのは、最近よく保険会社のCMなどでAAA(トリプルA)などと言っているやつですね。

これによると、
国土交通省がマンションの管理状態を客観的に評価する『格付け基準』を作るというもので、具体的には

『修繕の記録』

『修繕積立金の積み立て状況』

『管理規約の改正履歴』

『修繕工事の内容』

などの情報をデータヘベース化してWeb上で公開し、同時に管理の質を客観的に評価する1~5段階程度の格付けを付与しようと言うものです。

もちろんこれらの情報公開や格付け付与は任意ですが、この制度が一般化してくれば事実上の評価基準になることが予想されます。

管理に自信のある管理組合は積極的に格付けを取得するでしょうから、格付けの高いマンションの中古価格は上昇し、持ち主の資産価値は向上することになります。逆に格付けが低かったり、格付けを取っていないマンションは売却可能価格が低くなり、資産価値が下がってしまいます。

今後は立地条件や築年数が同じようなマンションでも、今後中古価格に大きな格差が出てくる可能性があります。

異端児は警戒される?

イブドアの堀江社長。

ご高齢の経営者からすると正に『異端児』なんでしょうね。

相当前になりますが、テレビのドキュメンタリー番組でマンション管理における『異端児』を取り上げていました。

あるマンションの管理組合の理事長に30歳台後半の男性が就任しました。

どのような経緯で理事長に就任したのは忘れましたが、この方はフリーの仕事をしていて、基本的には自宅マンションが仕事場。

そのような環境と、持ち前のバイタリティーで非常に熱心にマンション管理業務をしていました。

当時はまだパソコンも今ほど普及していない頃でしたが、仕事柄コンピュータに明るいこの方。
『これからはコンピュータの時代!マンション管理もパソコンが必要』ということで、管理組合の予算でパソコンを購入して、データ管理を始めました。

最初は『今度の理事長は熱心でいいね』なんて言っていた年長の理事からも『本当にパソコンなんて必要なのか?』とか『自分が使う為に購入したんじゃないか?』という批判的な意見が出始めました。

この理事長は必至で『パソコン時代の到来』を説明するのですが、なかなか理解してもらえません。

結末は忘れてしまいましたが、やる気のある有能な理事長さんが、結果的に不幸になったというお話し。

なんだかライブドアの話しに少し似てませんか?

どこの世界でも『時代の流れに沿った意識改革』は必要ですね。

マンションの定義

ンションとは一般的に中高層の集合住宅の総称として使われています。

ではアパートとの違いは何でしょうか?

マンション(mansion)は英語では大邸宅を意味することはよく知られています。

ですから「わたしはマンションに住んでいる」と英語で言うと、よっぽど日本通のアメリカ人でない限り「あなたは大金持ちか貴族ですか?」ということになります。

英語ではアパートメントハウス(apartment house)が一般的のようです。

日本語でアパートというと、2階建で長屋形式の住宅を想像しますよね。



さて、日本の話し。
ではマンションの定義とはどのようになっているのでしょうか。

無意識に使っている『マンション』という言葉ですが、平成12年以前は国土交通省において、

「中高層(3階建て以上)」

「分譲・共同住宅」

「鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリートまたは鉄骨造の住宅」

としていましたが、
平成12年に

『マンションの管理の適正化の推進に関する法律』(マンション管理法)

が制定され、この中でマンションについての定義が始めてなされました。

第二条 (定義)
一 マンション 次に掲げるものをいう。

イ 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び付属施設
とあります。

法律の条文に不慣れな人には少し取っ付きにくい表現ですね。

要するに
「1つの建物で2人以上の区分所有者(区分所有法の)がいて、店舗とかではない人がすむための専有部分があるもので、敷地や機械室や集会場などの付属施設を含むもの」と言うことになります。

ですから、例えば100戸の集合住宅を、一人が棟全部を所有していて、賃貸をしているようなものは法律上はマンションではありません。(賃貸なので2人以上の区分所有者がいない)

もし、仮にこの建物の1戸だけを誰かに売却した場合は、区分所有者が2名となるので、その時点で『マンション』になり、管理組合が成立します。




ちなみに高級分譲マンションは英語でコンドミニアム(condominium)です。

管理費と自治会費

ンション管理費とは別に、自治会費というものがありますね。

これは地域自治のための費用なので、マンション以外の人も負担をします。場所によっては町会費とか町内会費と言いますね。

具体的には清掃、消毒、害虫駆除といった清掃活動費。
夜警や交通安全運動など安全活動費。
その他香典やお祭りの開催費など様々な地域のための費用として使われます。

さて、今回のテーマはこの自治会費を『マンション管理費の予算から支出してよいか?』についてです。

自治会費は金額的には年間数千円程度ですから、マンション管理費に比べると軽い負担です。

集金方法は3ヶ月分一括、半年分一括、1年分一括などが多いようですが、大規模マンションでは入居戸数が多いので、自治会費を集金する役員さんは一苦労でしょう。

そこで、各マンションにおいては、マンション毎に集金をすることが多いようです。
が、ここで問題になるのが『マンション管理費の予算として自治会費を支払ってよいか?』です。

この議論の前提として、マンション管理費と自治会費の法的性質の違いを認識しなければなりません。

まず、マンション管理費は区分所有法により区分所有者に負担が義務付けられていますし、もし中古でマンションを購入して前所有者に管理費の滞納があった場合は、買主が滞納分を負担しなければならないという厳しい決まりがあります。

一方、自治会費や町会費は『道義的』には当然支払うべきものですが、法的拘束力はありません。

『私は自治会に参加しません』

と言われればそれまでです。

このように負担が強制されるマンション管理費の中から、任意参加の自治会費を予算化して支払うということは、私は問題があると思います。

そもそもマンション管理費は共有部分の管理のための費用で、地域自治のための費用と認められているわけではありませんから。

ですから自治会費はマンション管理費の予算外として、便宜上マンション管理費と一緒に集金を行うことが望ましいと思います。

もし、マンション管理費予算に自治会費が計上されている場合は、個別に住民から『同意書か承諾書』を取るべきでしょう。
もし、賃貸や売却で居住者が変わる場合は、その都度同意を得る必要があると思います。

『何もそこまで杓子定規にしなくても』と思われるかもしれませんが、お金の問題は特にシビアに!