エレベーター業界 | マンション管理の部屋

エレベーター業界

皆さん、こんにちは。

春ごろから色々と忙しくなってしまい、ブログの更新が随分止まってしまい、申し訳ありませんでした。

これから、徐々に再開していきたと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。


さて、更新をお休みしていた間にもマンションに関するニュースは沢山ありましたが、何といってもショッキングだったのは、シンドラー社のエレベーターによる死亡事故です。

今更説明するまでもありませんが、東京港区の住宅公社マンションで高校2年の市川大輔さん(16)がエレベーターに挟まれて亡くなった事故です。


この事故の原因についてはシンドラー社のエレベーターに欠陥があったのか、保守管理を行ったSECエレベーターに問題があったのか、まだ明確ではないようですが、このエレベーター業界というのは非常に特徴的なので、少しお話しします。


まず、エレベーターの主な製造メーカは、

・三菱電機

・日立製作所

・東芝エレベータ

・日本オーチス

・フジテック

・シンドラー

などですが、新築工事の際、各社は激しい受注競争にさらされるので、設置時点ではあまり利益が上がらず、原価ギリギリで受注することも多いようです。

エレベーター各社の狙いは、工事では利益が出せなくても、その後の保守管理契約で長期間にわたり安定的な利益を獲得することにあります。


だから、今まではエレベーターメーカー=保守管理会社という構図が決まっていたのです。

エレベーターメーカーは、この保守契約市場を死守するために、メーカー以外で保守のみを行う会社(これを独立系といいます)に対して、修理部品の供給を制限するなどの対策を行ってきました。


メーカー系にしてみれば、赤字ギリギリで設置工事を受注して、やっとこれから保守で利益を回収しとうと思ったら、独立系においしいところだけをさらっていこうとする訳ですから必死です。

でも、これを自動車業界に当てはめると、メーカー系のディーラーでなければ自動車の修理や車検ができないことと同じで、非常に閉鎖的で問題がありますね。

当然、エレベーター業界でも問題があるということで、公正取引委員会から「部品の供給を阻害することはいけない」という注意を受けました。

これで勢いがついたのが独立系で、メーカー系に比べて非常に安い値段で、メーカー系の保守契約をどんどん奪っていきました。

そのような一社が、今回の事故で保守を行っていたSECエレベーターなのです。

車やバイクは誰でも保守点検ができるように、メーカーが「サービスマニュアル」という詳しいマニュアルを提供しますが、エレベーター業界はこのように閉鎖的な業界だったので、シンドラーのものは入手できなかったと報道されています。


では、次回は管理組合にとってエレベーターの保守管理をどのように考えるかについて勉強してみましょう。