ねだんの力学 | マンション管理の部屋

ねだんの力学

少し前の日経新聞に「ねだんの力学」という特集記事があって、その第5回目にマンションをテーマとしたものがありましたので、ご紹介したいと思います。

昨今の耐震偽装問題などを考える上でも参考になると思います。


(以下新聞記事)

バブル崩壊後、下落を続けていたマンションのねだんが反発の兆しを見せている。
都心部の地価上昇をうけ、コスト上昇分を販売価格に反映させようとの機運が開発業者に広がり始めたためだ。

千葉県の東京メトロ浦安駅近く、首都圏有数のマンション激戦地にライバル企業の二棟の物件が隣り合う。ともに土地購入は2003年。
04年春に分譲を始め、昨夏完成した南側の物件は3.3平方メートルあたりの販売価格(坪単価)が125万円だった。

一方、05年春に販売を始め今夏完成する北側の物件は160万円。
80平方メートルの部屋で試算すると850万円も価格差がある。
開発業者は「地価上昇で価格の先高観が広がり、強気の根付けができた」と明かす。

マンションは立地や広さ、間取りなど価格の変数が多く、根付け手法も業者間で異なる。
ただ、周辺物件の値段や金利が左右する消費者の「相場観」は共通の条件。
地価動向にやや遅れて動くこの相場観が、全国マンション供給戸数の半数以上を占める首都圏でようやく上昇に転じつつある。

土地高に加え近年は建築用鋼材も高騰。昨年発覚した耐震強度偽装事件の影響で、建築コストを上げてでも安全性を確保する動きも広がる。
マンション業者は相場観の上昇を浮力として、価格値上げの機会をうかがう。

ただ、サラリーマンが組める住宅ローンの総額は世帯年収の5倍が目安。
微妙なさじ加減を誤ると需要に水をさす。

都心部ではマンション好適地の需要逼迫(ひっぱく)で用地代が想定外の高さになるケースも多い。

東京建物は昨年2月、東京都目黒区の土地・建物を路線価の3.4倍にあたる62億2000万円で落札した。一般的なマンションを建てるとコストからの逆算で坪単価が30万円前後と、大手戸建ての2分の1の場合もある。

埼玉県のJR川口駅から徒歩5分。今月下旬にセコムホームライフと藤和不動産が売り出すタワーマンションは平均専有面積80平方メートルで中心価格帯は5000万円前後。駅から10~15分ほどの場所には、パワービルダーが延べ床面積100平方メートル規模の新築物件を3000万円台後半から4000万円台後半で販売している。
マンション業者は1部屋の専有面積を縮小して表面価格を抑えるなど、対抗策に知恵を絞る。

1991年以降、昨年までに首都圏で40%の坪単価下落を目の当たりにした消費者の相場感は上昇ペースも緩やかになりそう。
異なる力学が働く都心部と郊外での二正面作戦に業者が追われる中で、双方の価格差がじわじわと拡大する可能性が高まっている。