耐震性の確認方法(3) | マンション管理の部屋

耐震性の確認方法(3)

さて、『民間建築確認機関の出資者を制限させなかったこと』とはどういうことか。


マンションの開発業者にとってはせっかく確認検査機関を民営化しても、独立行政法人のような中立な組織では自分たちの思うように確認許可を早くおろしたりすることができませんから、株式会社として民間企業が自由に出資できるようにする必要がありました。


例えば、今問題になっている㈱ERIの株主は


ミサワホーム、大和ハウス、パナホーム、三井ホーム、積水化学

などの住宅関連企業です。


その他に大手ゼネコンが出資している民間確認検査機関もあります。

まあ、不正をするという目的で出資しているわけではないと思いますが、少なくとも出資している会社は「建築確認が早く降りる」というメリットを目的にしていることは、間違いないと思います。


一方、民間の検査確認機関としては民間の厳しい競争がありますから、検査スピードを他の検査機関と競わざるを得ないという宿命を背負っています。

前回も説明したように、開発業者は多少検査費用がかさんだとしても、建築確認が早く降りた方がメリットがあるので、検査スピードの要求が益々強くなります。


実際にERIでは特急料金というのはあって、検査費用を多く払えば早く確認を降ろしてくれるというサービスがあったようです。まるでクリーニング屋のようですね。


今回の事件はマンションの鉄筋量を減らして材料費を浮かせて儲けを増やそうとした業者と、顧客である建設会社やマンション業者から早く確認許可を降ろせ!というニーズに応えざるを得なかった確認検査機関のずさんな検査が生んだ犯罪といえます。


本来なら建設会社がしっかりと法律を守って施工を行えば全く問題がないもですが、それを更に第三者がチェックする仕組みとなり、でもその第三機関がチェック機能を果たしていない。


これは会社でもいえることで、近いところではカネボウの粉飾決算を監査法人がチェックできなかったということが大問題になりましたし、昨日のニュースではライブドアの問題でも会計監査人に圧力がかかったという報道もありました。


規制が厳しくなれば、それに応じて法の目をかいくぐろうとする者が出てくるのは世の常ですが、しっかりとした法整備を期待したいものです。


さて、建築確認の仕組みや民間検査確認機関についてお話ししてきましたが、では実際に自分のマンションをどのような手順で確認すれば良いのでしょうか?

また、問題が発見されたとき、どのような対処法があるのでしょうか。


次回はそのあたりを説明して行きます。