耐震性の確認方法(2) | マンション管理の部屋

耐震性の確認方法(2)

建築確認の民間委託は運転免許を教習所が発行できるくらいおかしな制度だという話しを前回しました。

コメントでもご意見をいただきましたが、役所だからといって安心というわけではありませんが、それ以前の問題で、民間委託はそもその仕組み自体がおかしいということです。

では、なぜこのようなおかしな制度がまかり通るのでしょうか?


平成11年5月以前の建築確認事務は『建築主事』という特定の資格を与えられた人、すなわち役人が行っていて、建築主事は主に都道府県に設置されているのですが、比較的大きな市町村では市町村にも建築主事が設置されています。ちなみに建築主事を設置している自治体のことを『特定行政庁』と呼びます。

そして平成11年5月以降は建築基準法の改正で、いままで役所でしかできなかった建築確認事務を民間に委託できるようになりました。これには色々な裏地事情があるようですが、きっかけは平成7年に発生した阪神淡路大震災です。

この震災では多くのビルや建物が倒壊したことから、政府は

『建築物の安全性の一層の確保と合理的利用の推進』という目標を立てました。
要するに大震災で多くのビルやマンションが倒壊したことを反省して、建築基準法を強化しようとするものでした。


ところが、これで一番困るのはマンション開発業者や建設業者です。

なぜ困るかというと、建築基準法を強化するということは、建築確認等の審査が今まで以上に厳しくなるということで、そうなると今まで1ヶ月半ほどもかかっていた審査期間がもっと延びてしまうからです。

期間が延びるとなぜ困るかというと、マンション開発業者はマンションを分譲するために多額の資金を必要とし、その資金の大半は銀行からの借り入れでまかなっています。

建築確認に時間がかかり、分譲までに時間がかかるということは、マンション開発業者としては金利負担が増えて利益が減少するということになるのです。


一般にマンション開発費の内訳は


用地の取得費 (20%~30%)

建設費     (40%~50%)

経費(宣伝費、金利)(10%程度)

利  益      (20%程度)


と言われています。


マンション用地の取得には何億円ものお金がかかりますが、マンションの購入者から代金を受領できるのは、一部を手付金でもらる他はマンション引渡しの時点です。

それまでの間、多額の開発費用をマンション開発業者は立て替えなけでばならないので、確認申請に時間がかかり、引渡し時期が延びると開発業者の金利負担が大きくなり、死活問題となります。


そこで、マンション開発業界や建設業界は建築確認をスムーズに受けられるように民営化を陳情したのです。


もう一つ重要なのことに、『民間建築確認機関の出資者を制限させなかったこと』というのがあるのですが、これは次回お話しします。