『地域のなかで』4 | マンション管理の部屋

『地域のなかで』4

日本経済新聞首都圏版の特集記事、「マンション誰のもの 第4部-地域のなかで」を紹介しています。全4回のうち今日は最終回をご紹介します


(以下新聞記事)

山梨県山中湖村にある5棟構成のリゾートマンション「ビラフォーレ山中湖」。

10月29日、ここで大規模修繕工事の完成式典が開かれた。

関係者が集まったのは、ゴミ置き場を改造して作った丸い屋根の交流スペース「コヤ・コヤ」だ。


ここまでたどり着くのは簡単ではなかった。

修繕には5千万円を超す費用が必要だが、積立金が足りない。

所有者に負担を求めようにも、そもそも管理組合はなく、話し合う場がない。



◇◇--------------------------------◇◇

「売れるなら売りたいぐらい」

「購入したのは父親。私は関係ない」

昨年9月、ようやく管理組合ができたが、理事長の西堀雅夫さん(59)が工事を提案したとたん、所有者から異論が相次いだ。

築30年を超す同マンションは分譲当時こそにぎわったが、利用者は減る一方。

老朽化が進む中、約90人の所有者の中には全く利用しなくなった人もいて、財政負担を伴う工事への抵抗感は強かった。

「このままでは悪循環が続くだけ。まずは一緒に建物の価値を高めよう」。

西堀さんは所有者を説得すると同時にコヤ・コヤを整備し、交流会を開いた。

疎遠だった所有者が意見を言い合うようになれば。合意づくりに役立つと考えたわけだ。

努力が実を結び、工事を終えた今、西堀さんらは周辺のリゾートマンションと「マンション・ユニオン」を設立することも計画している。

管理のノウハウを共有し、プールやテニスコートなどの附帯施設を相互開放する構想。
施設は地元住民にも開放し、村の観光農業特区計画にも協力する。
「地域全体が活性化することが、自分たちの楽しみを増やすことにもなる」。

西堀さんらはそう考えている。

1980年代後半のブームに乗り、各地にリゾートマンションが建てられた。
利用者が少ないと管理がおざなりになりがちで、古ぼけた建物も増え始めている。

ビラフォーレのように所有者が手を携え地域との共生を目指す動きもあるが、放置されスラム化する危険性もつきまとう。地域にとっては大きな問題だ。


◇◇--------------------------------◇◇


海の見える傾斜地に高齢者向けマンションを建てるという県内の業者の計画に地域住民が反発、撤回を求めて立てたものだ。

町は、マンションの高さがまちづくり条例の規定を超えていることを根拠に計画の見直しを要請したが、業者は受け入れず、昨年12月に県から建築確認を取得。

今年3月に業者が町に給水を申請すると、町は条例に基づく協議に応じないことを理由に受理を拒んだ。双方は今もにらみある。

真鶴町にはリゾートブームのころに開発計画が殺到した。
「このままでは町が壊される」と、94年に「美の条例」と呼ばれるまちづくり条例を制定。

美観を守るために高さや規模のほか、材料からデザインに至るまで様々な基準を定めた。
業者側は「条例は法律違反」を主張するが、住民団体「まちづくり条例を守る会」の錦織潔さん(79)は、
「景観はもちろん、予定地は防災面でも問題がある。建てるのは勝手、では済まされない」と憤る。

マンションは周辺に及ぼす影響が大きい。

住宅地でもリゾート地でも、一定の公共性、つまり周辺環境への配慮は地域社会に溶け込む努力が求められる。建てる側、所有する側にその意識が根付かない限り、マンション建設に異を唱える声が消えることはない。


今回は「マンションが地域に与える影響」についての特集記事です。

マンションは地域にとって大きな影響を与える存在であることは間違いないでしょう。

マンションは一戸建住宅に比べて非常に大きな構造物なので、近隣に与える影響も非常に大きなものとなります。特に周辺に戸建住宅が多い中でマンション建設を行うと、かなりの確立でこのような問題が発生します。

12月20日の新聞に国立市のマンションの高さについて争っていた裁判の控訴審で、市に2500万円の賠償金を命じる判決が出たとの記事がありました。

簡単に事件の概要を説明しますと、東京の国立市で高さ44メートルのマンションを建設した明和地所が、「工事着工後に高さ20メートルに制限する条例を制定するなど妨害された」として、国立市と同市長を相手に損害賠償を求めた訴訟です。

第一審は同市に4億円の賠償を認めましたが、控訴審(第二審)では市の賠償額を2500万円に減額した判決となりました。

裁判長は「市長が市議会で違反建築物と答弁したり、東京都などに水道を供給しないように働きかけたことは、行政の中立性を逸脱し、異例かつ執拗(しつよう)」と指摘しています。

賠償額の減額理由は「条例による価値減損は受忍すべき」とか「明和地所の強引な営業方針も信用下落につながった」としていますが、かなり根の深い問題です。

おそらく近隣住民と市が一体となってマンション業者と戦ったわけですが、あとから高さ制限の条例を制定するというやり方は如何なものでしょうか?

もう一つの大きな影響として人口問題があります。

マンションは限られた敷地の上空を有効利用することで多くの人が住めるようにするものですから、一戸建てであればせいぜい20世帯ほどの土地でも、マンションにすることで何百世帯もの住宅を確保することができます。

ある地域にマンションラッシュが起きると、急激に人口増加が起きます。

色々な商店などは喜んで出店するでしょうが、困るのが学校や幼稚園です。

前回の記事にも書きましたが、マンションが増えてある一時就学児童の人口が増えても、それは一時的なものでマンションの新陳代謝が進まない限り、就学児童が増え続けることはないでしょう。
そうすると学校を作ってもすぐに統廃合といった問題が待ち構えています。

私の住まいの近くに武蔵浦和という駅がありますが、埼京線の開通、延伸や快速電車の充実でここ数年多くのマンションが建設されましたが、幼稚園の数が足りず、入園のために3日間徹夜で並んだといった話しも聞いたことがあります。


このように地域に非常に大きな影響を与えるマンションですから、それを作る者、それを受け入れる地域、そしてそこに住む者がそれぞれ責任を認識して調和を図る必要があるということですね。