『地域のなかで』3 | マンション管理の部屋

『地域のなかで』3

師走の忙しさにかまけて、更新が遅れ気味になっており申し訳ありません。

日本経済新聞首都圏版の特集記事、「マンション誰のもの 第4部-地域のなかで」を紹介しています。全4回のうち今日は第3回目をご紹介します。


(以下新聞記事)

全盛期に比べ人口は約1万人減少。

残った住人の4人に一人は高齢者。


人口減に悩む地方の自治体の数値ではない。

東京都板橋区にある高島平団地の現状だ。


調べたのはタウン紙の高島平新聞。

2004年10月1日時点の人口を調査したところ、できた当初に3万人を超えていた高島平団地の人口は19,262人まで落ち込んでいた。

うち、65歳以上は4,677人で、区平均(17%)を大きく上回る24%を占める。
1970年代前半に1年強で一気に入居が行われた高島平団地だが、その後世代交代が進まなかったことが高齢化につながった。

団地内の賃貸棟に住む村中義雄編集長は「高齢者が増えると地域の消費が落ち込み、町の活力も失われる」と懸念する。
実際、団地内商店街でも駅から遠い地域は「シャッター商店街になっている」(同)。

危機感を抱いた住民の一部は大東文化大と協力して高島平再生策の検討を開始。
軒並み30年を超えた建物の建て替えや改築も視野に入れている。

だが、高島平の一角を占める分譲棟の住民の声を聞くと周囲との温度差が浮かび上がる。

「あえて変える必要はない」と話すのは中層棟の4階に住む高橋宏さん(73)。

理由はまず間取りだ。

南向きの部屋が複数あり、各階共通の通路がないため、北向きに集められた台所や風呂にも窓がきってある。
「日当たりがよく、風通しも抜群。建て替えたときにこれだけの条件が確保できるのか」


分譲棟の管理がかなり優れている点も背景にある。

当初は管理会社に全面的に委託していたが、後に自主管理へ移行。

毎年一千万円ほどの予算を投じて植栽を維持し、約10年ごとの大規模修繕にも積極的にかかわった。

配水管工事の説明会には住民が大勢集まり、集会場がいっぱいになったほど。

水漏れなどの問題はほとんど無く、住民が建て替えをためらう一因となっている。

それでも建て替えの声が出てくるのは、エレベーターのない中層棟で空き家が増えているため。
特に4、5階は若い人にも嫌われ、「持ち主か貸そうと思ってもなかなか借り手が現れない」(地元の不動産業者)。

もう一つの問題が駐車場不足。
団地内の駐車場では足りないため、住民多くは団地外の駐車場を借りている。

日本住宅公団が設立された1955年から昨年6月末までに公団が供給した住宅は1都3県で77万戸弱。
高島平や多摩ニュータウンなどで建設されたものの中には築30年を超えるものが多い。

建物自体の経年劣化に加え、エレベーターや駐車場など施設面で最近のマンションより立ち遅れていることが敬遠される要因となっている。

今住んでいる建物が思わぬ負担になることがある。
多摩ニュータウンでエレベーターのないマンションの5階に住んでいた都田浩司さん(65)は狭心症で入院した6年前、「エレベーターがないから退院は認められない」と医師に宣言された。

都田さんが後にエレベーター付マンションに引っ越すことに。

「ニュータウンの中には墓地もない。住むだけの町というのは、どこかいびつだ」

高島平新聞は団地住民のうち55~64歳の「高齢者予備軍」も調べている。
その比率は25%。
このままだと10年後には住民の約半分は高齢者になる計算だ。

そうなる前にどうやって町を若返らせるか、その際にマンション住民はそのような寄与ができるのか。
高島平をめぐる問題は、急激な日本全体の縮図なのかもしれない。


高島平


高島平とは東京都の板橋区の大規模団地です。

昭和47年に日本住宅公団、現在の独立行政法人 都市再生機構によって開発されました。

総戸数は1万戸を超え、当時は東洋一のマンモス団地との異名をとり、大規模団地の代名詞でした。


団地もこれだけ大きなものになると、団地内にスーパーや各種商店、診療所や学校、託児所などもあって、もはや一つの街を形成しています。


でも、居住者の新陳代謝が行われなければ、当然高齢化の道を辿ることになるわけで、高齢化になると学校や託児所も不要になるし、子供が独立して行けば商品の消費量も少なくなるので商店もどんどん寂れていきます。

私が知っている大きな団地の商店街も、かつては賑やかだったのに今では本当にひっそりした感じになってしまってます。


まあ、少子高齢化というのは日本全体のことですが、マンションや団地で顕著になるというのはマンション住民の入れ替えによる「若返り」が起きにくいからでしょう。


「若返り」というのは今までの入居者よりも若い世帯が入居するということですが、要は中古マンションを若い世帯が購入するということです。


バブルの頃はそれでも中古市場が活発でした。

新築で買った値段より数年住んで中古になったマンションを売る方が高いという、今考えると「何で?」ということが当たり前の時代でしたからね。


今ではマンションを終の棲家と考え、永住思考で購入する人も増えていますし、土地代がバブルの頃より安くなっているので、中古よりも新築を買おうという人が増えています。


しかし、永住思考ということはマンションに若い世代が入ってこないということであり、高齢化が進むということです。

マンションの管理組合は益々遠い将来を想定した施策を求められる時代になっています。