マンションの地震とエレベーター | マンション管理の部屋

マンションの地震とエレベーター

エレベータ



先週末午後、首都圏で大きな地震がありました。

千葉県北西部を震源とするもので、最大震度は5だったそうですが、皆さんの中で被害に遭われた方はいらっしゃいませんでしたでしょうか。


この日私は、渋谷のデパートの6階にいたのですが、あっと思った瞬間に突き上げるような激しいたて揺れに襲われました。幸いにも商品の落下などはありませんでしたが、デパートのような陳列物の多い場所での地震は非常に怖いものだと実感しました。


この地震では最強震度情報が22分間も伝達されないという不手際があり、東京都の対応不備が大きな問題となっております。


さて、本題のエレベーターの話しです。

首都圏では約5万基のエレベーターが止まり、そのうち数十件では人が中に閉じ込められました。

三菱電機ビルテクノサービス、日立ビルシステム、東芝エレベーターのエレベーター保守大手3社だけで4万基を越えるエレベーターに障害が出ました模様です。


三菱電機ビルテクノは都内で保守契約を結ぶ4万4千基のうち約1万2千基が停止、利用者が閉じ込められた被害は10件に達しました。

日立ビルシステムも東京、神奈川、埼玉、千葉に茨城を加えた1都4県で7万基のうち2万1千基が停止し、閉じ込めは20件。

東芝エレベーターも1都3県で1万基が停止。


上記の3社だけでも4万3000基のエレベーターがストップです。


私がいたデパートでも地震の後は全てのエレベーターが停止しており、復旧の見通しはたっていないとのことでした。


「最近のエレベーターは地震があると、一番近い階で自動的に止まって扉がひらくから安全だ」ということを聞きますが、これは運転制御に地震計があるか無いかによるものです。


①地震計の無いタイプ

  人が乗るかごの部分が側壁などに接触した場合、即座に停止するため、利用者が閉じ込められる危険性が高い。

②地震計のあるタイプ

  震度4以上の揺れを検知した時点で最も近い階に停止する仕組み。


※ただし、地震計付きは安全性は高まるものの、側壁や吊り上げ部などが損傷していなかを現場作業員の立会で点検するため復旧までに時間がかかります。


ひとたび大きな地震がおこると、何万基というエレベーターに障害が起こります。そしてその復旧にはエレベーター保守作業員の点検が必要となるわけですから、膨大な作業となります。


しかし、前述のとおりエレベーターの保守会社はメーカー系が大きなシェアを占めていますから、このような大規模な被害がでてしまうと保守作業員の人数が足りなくなり、復旧に時間がかかるという結果になります。


今回の地震発生は週末だったので、オフィスビルへの影響少なかったと思うのですが、これが平日の日中だったら復旧はもっと混乱したことでしょう。


保守各社では当日の想定を超える被害に現場が混乱したことから、保守・復旧体制を見直す動きが出ています。ただ、今の状態で復旧体制を高めるということは、保守作業員を増員するしか手がなく、そうなるとエレベーターの保守費用の値上げにつながることから、遠隔監視の技術高度化等により新たな対応策を模索していく考えのようです。


マンションでも5~6階程度の住民であれば階段をつかった生活も可能でしょうが、高層マンションであったり、低層階でもお年寄りや体の不自由な方にとってはエレベーターの停止は大変な問題です。

今日発売の『週刊文春』にも関連記事が掲載されていました。

ある高層マンションの40階に住む主婦は、地震の前に近所のスーパーに買い物に行き、特売日であったため牛乳パック4本と卵のほか、夕食の食材をたんまりと買い込み、マンションに帰る途中で地震にあってしまい、エレベーターが止まっていたため多くの荷物を抱えながら、40階まで30分以上かけて登ったというものです。

皆さん、自身ありますか?ほとんど登山の世界ですよね。


「天災は忘れたころにやってくる」


この機会に皆さんのマンションでもエレベーターに関する事項を再点検されてはいかがでしょうか。