マンション管理「格付け」 | マンション管理の部屋

マンション管理「格付け」

中古マンション


今年3月にこのブログでマンション管理の「格付け」について記事にしました。(興味のある方はブログテーマの「マンションの格付け」からご覧ください)

このマンション管理の格付けというのは判断材料の乏しいマンションの管理状態について、評価基準を設定することにより、中古マンションを購入する際の判断を容易にしようとするもので、国土交通省が検討を進めているものです。

今日の日本経済新聞の一面で、進捗状況についての記事が掲載されましたのでご紹介します。


(以下、本日の新聞記事)

マンション管理「格付け」 

国交省 評価基準年内に中古購入、判断容易に

国土交通省はマンション管理に関する評価基準を年内に作成する。
管理の内容や将来の修繕に必要な積立金などについて居住者や購入者が判断する材料を提供するのが狙い。

マンション管理組合から情報を集め、公表する制度も来年から始める。
マンション管理に実質的な「格付け」を導入する試みで、中古マンションの売買が円滑に進むよう側面支援する。

マンションの管理状況は外部から実態が見えにくく、他との比較も難しい。
評価の基準が明確になり、情報公開が進めば、中古マンションの売買の重要な要素である管理状況を一般個人も判断しやすくなる。

管理の評価基準は国土交通省がガイドラインの形で公表する。
築年数や建築様式ごとの修繕積立金の標準額、管理規約に盛り込むべき内容、管理組合の活動などについて

「望ましい水準」
「標準的な水準」
「基準を満たす最低水準」

の三段階に分けて評価基準を示す。

例えば修繕積立金の場合、

必要分の100%超を望ましい水準、
80~100%を標準、
60~80%を最低水準とする。

管理費は個別性が高いため、一律の基準をつくりにくい。そこで、管理コスト別のサービス内容を例示するなどして、割高な管理費には下げ圧力が働くような工夫も採り入れているという。

個別のマンションの管理状況を各管理組合に報告してもらい国土交通省の外郭団体の「マンション管理センター」がデータベース化、インターネットで公表する仕組みも導入。
10月から登録を受けつけ、来年から公表する。

登録は任意だが、管理状況が良好なマンションは価値向上も期待できるとみて、所有者が情報公開に前向きになる可能性がある。一方で情報を公開しないと「管理状況が悪い」とみなされることも考えられる。



マンションの管理状態は分かりにくいものです。マンションの居住者ですら分かりづらいのですから、中古マンションを購入しようとする者からすると尚更です。

もし、中古マンションを購入してからそのマンションの修繕積立金が基準より大幅に少ないことが分かった場合、大きな含み損のある物件を購入してしまったことになります。

今まで中古マンションの価格は、立地、築年数、建物グレードから近隣の取引事例などを参考に決められておりました。

ですから近隣のマンションで条件が同程度であれば、中古価格も同程度になることが多かったのです。

しかし、この価格基準にはマンションの管理状態というものがあまり反映されておりませんでしたので、これからはその他の条件が同程度であっても管理状態によっては大きな価格差が生ずる可能性があります。


企業が他の事業や不動産を買収する際はデューデリジェンスと言われる資産の適正評価を行います。
これは資産や買収対象企業の価値,収益力,リスクなどを詳細に調査し評価することで、特に不動産の場合は物件内容,法的関係,地盤や土壌汚染などを精査し,実際の市場価格を査定する手続きです。

これからは中古マンション市場でもデューデリジェンスのような資産評価というものが求められていく事と思われます。そして、マンションという資産の価値を劣化させないためも更なるマンション管理への取り組みが求められてきます。