「管理」が危ない(4) | マンション管理の部屋

「管理」が危ない(4)

風鈴



関東地方では猛暑が続いておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて、日経新聞の特集記事が延び延びとなってしまいましたが、今回が最終回です。


「ゴザを敷けば宴会ができるな」。

5月末、東京都江戸川区のなぎさニュータウンで歓声が響いた。

4、50代を中心とする住民が夢中で取り組んでいたのは、建物周辺の植え込みを池のある小庭園に変えるボランティア活動だった。

同団地は竣工から25年。大規模修繕の積立金が底をつく苦い経験も味わったが、今や自主管理型マンションとして全国のお手本だ。管理組合が主体的に運営する実態を見たいと、国土交通省も視察した。

転機は1988年、理事会を補佐する「事務局」の創設だった。生活上の悩み相談や日常出納業務といった本来、管理会社が行う作業を事務局が一手に引き受け、理事会を大規模修繕など重要案件の審議に専念させた。報酬は月1万円。原則休日なし、の働きだったが「団地内で濃密な人間関係をつくれたことが何よりの成果」と千田節子元事務局長(61歳)は笑う。

JR目黒駅近くにある築30年を超すマンションは清掃などを除き、管理会社を一切使わず自主管理を続けている。管理組合が5人の専従職員を雇い入れ、指南役となる「日本マンションテクノスクール」(横浜市、菅野安男理事長)から派遣された事務長の下で汗を流す。


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マンション管理と言ってもその作業は膨大。専門知識の無い住民だけで担うのには無理があるが、「財務処理」「保守点検」などのプロの技を個別に活用すれば、きめ細やかな管理が可能になる。

管理会社に任せきりにしなくなることで住民のマンション管理への参加意識も高まり、結果として要望が色濃く反映できるのが自主管理の利点だ。ただ、他社を「悪者」にできない分、理事らの責任は増す。



国交省の調査では、管理業者に委託しない組合の割合は1割ほどにとどまる。悪徳業者を見分けるマンション理事長ら幹部の眼力が「自己責任」として総会などで直接問われるため、尻込みするケースが少なくないと見られる。

「ただ、どこが悪徳業者かは、実際に被害を受けた管理組合の口コミ情報が頼り」と非営利組織「マンション管理支援協議会」(東京・中野)は指摘する。問題はその「口コミ」をいかにより広く集めるかだろう。


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ひとつの答えが千葉県浦安市にある。26もの管理組合が集まった浦安住宅管理組合連合会。その情報収集力は究極の域ともいえる。

「エレベーター保守管理 A社 1400万円」

「給水施設管理 B社 89万円」。

その業者がいくらで入札したのか重要情報が会報で実名で示される。市長との懇談会も定例化。約1万2千世帯を網羅する規模の力のなせるわざだ。

「いい加減な業者がいたら、2度と浦安で仕事ができなくなる」。

日本マンション学会の常務理事も努める舘幸嗣会長は胸を張る。

ただ、いくら成功した管理手法でも、別の物件で同じ効果を得られるか保証は無い。舘会長の基本方針は「各マンションの個別事情に口を挟まない」ことである。

行き着く先は、管理を含めたマンション住民の「責任ある自立」だろう。
物件の規模や年齢構成、管理への理念の違いを「個性」と尊重しあったうえで、情報を共有する輪をどう広げてゆくか。現状を打開しようとするマンション住民の知恵と工夫が問われている。

(新聞記事 以上)

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一昔前、マンション管理業界では、マンション管理業というものは非常においしい仕事』と言われていたそうです。何故おいしいのでしょうか?


ひとつは管理業務の受注について競争が少ないということ。

これは現在でもそうですが、マンションが分譲される時点ではすでに管理会社が決定していてます。

商売の常識からすると管理会社を決めるのは当然、マンションの居住者であるはずなのですが、ご存知のとおりマンションを購入する時点で管理会社はすでに決まっていて、購入者は結果的にはこれを追認せざるを得ない状況にあります。


これはデベロッパー(マンション販売会社)と施工会社、銀行、土地提供者などの事業者間でのバーターにより決まるもので、多くの場合はデペロッパー系列の管理会社が請負います。


今でこそ独立系の管理会社も増えてきて、リプレイスと言われる管理会社の途中変更なども行われるようになってきましたが、以前ではあまり考えられないことです。それだけに、一度管理業務を受託してしまえば安定的に売り上げが確保されるといったものでした。

また、以前は「マンションの管理などは管理会社に任せておけばよい」と言うか、そういったものだという観念があり、マンションの住民は比較的マンション管理に無関心でありました。


管理会社はマンションの管理予算を熟知していて、それでいて顧客であるマンションの住民は無関心なのですから、これはもう「赤子の手をひねる」ようなものです。


このようなことから、管理組合のお金を流用したり、不利な契約を結ぶといった悪質な管理会社も増えるるようになって、いろいろな問題が多発したため、マンション管理に関する法律が整備されることになりました。


現在では管理組合の危機意識も非常に強くなったことから、管理会社にとっては決して「おいしい仕事」とは言えなくなってきているものと思われます。

しかし、危機意識の向上も全てのマンションで言えるわけではありません。

世の中のマンションでは、まだ旧態依然とした管理意識のマンションも多いわけで、このようなマンションは悪質な管理会社の餌食になる可能性が非常に高いわけです。


新聞記事にもありますように、大切なことはマンション住民の「責任ある自立」に尽きると思います。

そのような意味からすると、このブログをご覧いただいている皆さんは、日頃からマンション管理に関する問題意識をお持ちだと思いますので、その意識を他の人に広げていくと言うことが大切なのではないでしょうか。