マンションの駐車場問題(6)「駐車場使用料」
区分所有者の共有資産であるマンション敷地内の駐車場を、一部の区分所有者が契約により使用する場合には、駐車場の使用者と非使用者の負担の公平を図るため、駐車場使用料を徴収するのが通例です。
さて、ではこのマンションの駐車場使用料金ですが、皆さんのマンションではどのように決めていますか?
駐車場使用料も地域によって格差がありますから、当然周辺の民間駐車場の相場が基準になると思いますが、その場合
①周辺民間駐車場使用料よりも割安に設定する。
②周辺民間駐車場使用料と同水準に設定する。
③周辺民間駐車場使用料よりも割高に設定する。
の3パターンが考えられます。
①の割安に設定する場合ですが、これはマンションの管理組合は営利組織ではないので、周辺相場からは割安に設定しようというものです。
しかし、使用希望者のほとんどが使用できる環境であれば良いですが、逆に駐車場台数が少ない場合は、マンション内の駐車場を使用できない者の不公平感が高まる危険性があります。
②の同水準に設定する場合は、①のように使用できない者が不公平感を持たないように、周辺相場にあわせた使用料とするものです。
③の周辺相場より高めに設定する場合は、周辺駐車場より敷地内駐車場の利便性が良い分、使用料を高めに設定するというものです。
私はこの③番の方法はとても良い決め方ではないかと思っております。
駐車場は自宅に近いか否かで、利便性が大きく異なります。
荷物が多い時や、子供やお年寄りのいる家庭、また天候が悪い時など敷地内の駐車場はとても便利です。
私も以前、周辺駐車場を借りていたことがありますが、子供が小さかったので車で出掛けるときは事前に駐車場へ車を取りに行き、また帰宅時には家族を降ろしてから駐車場へ車を置きに行くという、とても面倒なことをやっておりました。
その頃、「あ~、敷地内の駐車場ならどんなに便利だろうか」とよく思っていたものです。
ですから、私は敷地内の駐車場は周辺相場より2割程度高く設定しても良いのではないかと思います。
例えば周辺駐車場相場が1万5千円/月だとすると、敷地内が1万8千円/月。
月3千円で利便性を買うかどうかの選択ですよね。
これって少し悩みますよね。もしこの3千円が高いと思う人は、周辺駐車場を借りるでしょうし、「いや、敷地内で3千円プラスなら安いものだ!」と思う人もいるでしょう。
要は「敷地内の駐車場が絶対にお徳!」とは言えない状態にするのです。
このように使用者を悩ませる位の絶妙な価格設定を行うと、駐車場を借りられない居住者との間の不公平感も随分と緩和されるのではないでしょうか?
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ある管理組合の話しですが、上記の①のように敷地内駐車場の方が割安に設定されていて、不公平感を是正するために、差額分を管理費から周辺駐車場使用者に補填していました。
例えば敷地内が1万5千円で周辺駐車場が1万8千円とすると、差額3千円分×周辺駐車場使用台数分を管理費予算から各個人へ補填していました。
一見、公平なようですが、これは非常に問題があると思います。
なぜかと言うと、全ての区分所有者が駐車場を必要としている場合を除き、駐車場を必要としない区分所有者からすると、駐車場を必要とする区分所有者だけに一般会計から支出をしているということになり、一部の区分所有者のためだけに便宜を図っている と言うことになるからです。
簡単に言えば、共用部分の管理を行うという全員のためのお金を、なぜ駐車場使用者だけのために使うのか?という問題です。
もし、このような手法を用いる場合は、③のように割高に設定して、周辺相場相当額はちゃんと管理組合の収入にして、差額分を周辺駐車場使用者に補填するという仕組みが必要でしょう。
こうすることによって、駐車場を必要とする居住者の間だけで相互補填を行い、組合収入には影響させないと言うことが明確になります。
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