外壁崩落事故 | マンション管理の部屋

外壁崩落事故

外壁  

 

マンションの駐車場問題について特集している途中ですが、先日オフィスビルの外壁が崩落するという事故がありましたので、割り込み記事を書きます。

この事故については新聞やニュースでご覧になった方も多いのではないでしょうか。

 

今回の事故はたまたまオフィスビルでしたが、マンションでも当然起こりうるものですから、今日はこの「外壁崩落」について少し考えてみましょう。

 

(以下 産経新聞記事より)

 

ビル外壁崩落 2人重軽傷

 

14日午後零時40分頃、東京都中央区新川のオフィスビル「ニューリバービル」(地上8階、地下1階建て)の5階から6階部分の外壁が崩れ落ち、近くを歩いていた同ビル1階の会社に勤務する女性(40歳)に破片が直撃した。

女性は頭を打って重症。乗用車で通過中の男性(53歳)も急ブレーキをかけた際に、右ひざを打ち軽症を負った。

警視庁中央署の調べでは、崩落したのはコンクリートとタイル製の外壁が斜めになった部分。高さ約7m、幅約5m、厚さ約5cmにわたり、重さ計900㎏が剥がれ落ち、破片が女性の頭や男性の車を直撃、車体に突き刺さった。

ビルは築15年で、崩落当時、工事などはしていなかった。

同署は現場を立ち入り禁止にするとともに、崩落原因を調べている。

 

現場は東京メトロ茅場町駅から南東約200mのオフィスやマンションが立ち並ぶ一角にあり、近くの自営業、大地浩美さん(40歳)は「ミキサー車から砂利が落ちるような音がしたと思ったら、ドカンという音が響いた」と崩落の瞬間を振り返った。

また、血を流して倒れていた女性を抱え、安全な場所へ動かしたという近くの自動車販売店経営、小林溥明さん(71歳)は「とにかくビックリした」と予想外の出来事に驚きを隠せない様子だった。

ビルを管理するみずほ信託銀行は「原因について調査を大至急進めるとともに、ニ次災害がないよう対策を考えていきたい」と話している。

 

まずは、事故で被害にあわれた方に、心よりお見舞い申し上げます。

 

さて、この外壁が崩落したビルですが、築15年ということですから、そんなに古いビルというわけではありませんね。平成に入ってからの築造ですから。

 


さて、外壁についてですが、ビルやマンションの建設工事では、コンクリートの躯体を保護するために外壁仕上げを行います。

外壁の仕上げ方法としては

①タイルや石材を貼る方法

②吹付タイルで仕上げる方法

が一般的です。

 

今回の外壁崩落は、①のタイル壁が崩落したもののようです。

タイル貼りの場合、タイルの材質は陶磁器で粘土を焼成した四角い薄板です。

耐久性、耐火性、耐科学性があって、且つ水に強く、劣化しにくく、汚れが目立ちにくい。しかも美観に優れていて、高級感があることから、多くのビルやマンションに使用されています。

↓タイル貼りの外壁

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一方、②の吹付タイルというのはタイルのような陶磁器ではなく、アクリル系やポリウレタン系等の吹付材を塗布するもので、タイル貼りに比べると施工費や材料費が安く上がりますが、ひび割れ等の劣化や汚れが目立ちやすいというデメリットもあります。

 

↓吹付タイル


さて、今日は剥落の原因を究明するのではなく、もしマンションでこのような事故が起きた場合、誰にどのような責任が生じるかという部分について考えてみたいと思います。

 

故意(わざと)や過失(うっかり)で他人に損害を与えた場合は、賠償責任が生じます。

例えばベランダから過って植木鉢を落として歩行者を怪我させたような場合は、植木鉢を落とした本人に責任があることは明白ですね。

 

では、マンションの壁が崩落して歩行者を怪我させたような場合はどうでしょうか?

マンションの外壁は共用部分ですから、マンションの管理組合の責任ということになります。

マンションの管理組合とは言っても、その構成員はマンションの区分所有者全員ですから、もし管理組合で加入している保険や資産で賠償が賄えないような場合は、区分所有者の持分比率に応じて賠償責任が生じます。

 

マンションというと自分の所有する部分は居室(専有部分)だけだと思われがちですが、専有部分以外の共用部分は、他の区分所有者と共有しているだけで、その管理責任は持分に応じて負わなければならないのです。

マンションは戸建住宅と比べ物にならないほどの建物の高さを有します

 

高層マンションでは数十メートルの高さです。この上階から物を落とすと、大変な事故になる可能性があり、それだけ第三者に損害を与えるリスクが高い構造物といえます。

 

先日、尼崎で起きたJR西日本の事故では、マンションが被害者になりましたが、同時にマンションが加害者になることも十分あるのだという事を忘れてはいけません。

管理組合としては、マンションとしての資産価値を維持するということとは別に、第三者に対する被害防止という観点から、共用部分の管理を行うことが肝要です。


吹付