マンションの駐車場問題(1) | マンション管理の部屋

マンションの駐車場問題(1)

駐車場パース


最近の自動車業界はトヨタ自動車の好調振りを伝える一方で、リコール隠しなどの不祥事が続いた三菱自動車の経営不審などが新聞紙上を賑わせていますね。

近年ではマイカーを保有することは全く珍しいことではなく、一家で複数台の自家用車を保有するケースも増えてきているようです。私が子供時分(昭和40年代)では自家用車を持っている家は、かなり裕福か自営業の家でした。

 

わが国の自動車保有台数は平成15年度末で5,500万台を超え、10年前と比較すると3割り増し、20年前と比較すると倍以上増加したことになります。〔(財)自動車検査登録協会による〕

 

このような状況の中、マンションにおける駐車場は様々な問題点を抱えております。

その証拠に平成15年度マンション総合調査結果報告書によれば、マンショントラブルとして

【居住者間の行為、マナー】と言うカテゴリー中、

「違法駐車・違法駐輪」55.5%の管理組合に発生しており、ペット飼育や騒音の問題よりも多く、第一の問題点となっています。


また、

【管理規約】というカテゴリー中、

「駐車場使用方法に関するトラブル」13.0%の管理組合で問題となっております。

 

平成11年度のマンション総合調査結果報告書では、マンショントラブルとして


【居住者間の行為、マナー】のカテゴリー中、

「違法駐車・違法駐輪」36.4%であり、ペット飼育や騒音のトラブルを抱える管理組合の方が、多かったことを考慮すると、駐車場問題がより深刻化しているといえるでしょう。

 

さて、マンションにおける駐車場の問題とはどのようなことでしょうか?

駐車場問題は大きく分けると


1.駐車場の設備や構造に関する問題(ハード面の問題)


2.駐車場の使用や運用についてのルールに関する問題(ソフト面の問題)

 

の二つに分けることができると思います。

 

さて、近年マンションではなぜ駐車場問題が増加してきているのでしょうか?

まず、第一の要因として前述のとおり、自動車の保有台数の増加によってマンションの駐車場台数が不足しているということでしょう。

最近のマンションでは機械式駐車場などの設置により、駐車場の数を増やす傾向にあり、「駐車場100%完備」を売り文句にしている分譲マンションも増えてきていますが、マンションの大型化、高層化が進むにつれ、十分な駐車場台数を確保することは困難な状況になってきています。

 

抽選等でマンション敷地内に駐車することができた人とそうでない人では、まず不公平感が生じます。普段の乗り降りはもとより、天気が悪いとき、買い物の荷物を降ろすときに敷地内の駐車場はとても便利です。

 

私が以前住んでいたマンションでは、近隣に駐車場が少なく、歩いて5分もかかる、最寄駅よりも遠い駐車場を借りていました。この時は子供も小さかったので、車で外出の際は駐車場からマンションへ家族を迎えに来て、帰りはマンションで家族を降ろして駐車場に車を停めに行くという非常に面倒なことをしていました。

 

更に駐車料金も周辺相場に比べて敷地内の駐車料金の方が若干低く設定されているケースが多いようですから、益々不公平感が助長されます。

 

また、更にややこしいのはマンションの住民全員がマイカーの所有者であれば良いのですが、マイカーを所有しない人にとって駐車場は騒音や公害の原因であり、迷惑な存在になりかねません。特に1階の居住者でベランダが駐車場に隣接しているような場合は大きな問題になる可能性があります。

 

このようにマンションにおける駐車場問題は多岐にわたり、また深刻な問題でもあります。

これから数回にわたり、この駐車場問題を特集していきたいと思います。

 

次回はまずハード面の問題として、駐車場の設備や構造について考えてみたいと思います。