アルカリ骨材反応(2) | マンション管理の部屋

アルカリ骨材反応(2)

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アルカリ骨材反応とは、コンクリートを構成する骨材である砕石に含まれるケイ素が、セメントのアルカリ成分と反応して、部分的に膨張やひび割れなどの劣化を引き起こす減少で 「コンクリートの癌」と言われている現象です。


具体的にはコンクリートに使用した骨材が固まった後のコンクリート中に含まれる水分を吸収膨張し、コンクリートにひび割れを起こしてしまうというものです。さらにその亀裂から雨水などの水分が浸入し、内部の鉄筋を錆びさせて亀裂から赤褐色のただれが出る。あとは内部の劣化が進み最後には鉄筋が切れて著しく強度を落とすというものです。


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さて、前回の続きですが、なぜアルカリ骨材反応が西日本を中心に広がったか?についてです。


昭和30年代後半から高度成長を続けた我が国では、高速道路や新幹線の橋脚やトンネルのような公共構造物だけではなく、マンションなどの民間建造物の建設が大規模に行われ、その主要材料として膨大な量のコンクリートが必要とされました。


当初、コンクリートに使用される骨材は河川砂利が使われていましたが、その採取量が多すぎて、自然破壊につながり、各地の河川で骨材用の砂利採取が禁止され、必然的に骨材資源は砕石に置き換わりました。


関西では宝塚、茨木、高槻などに採石場がありましたが、ダンプカーによる陸送ではコストが高くつき、臨海部の生コン工場に砕石を運ぶには、海上運送が効率的であるという理由から、香川県豊島(てしま)産の砕石が選ばれました。


豊島



しかし、この豊島産の砕石に、アルカリ骨材反応を引き起こす成分が含まれていたのです。

なお、現在では豊島産の砕石は骨材として使用する事を禁止されています。

このような地理的要因から、西日本を中心にアルカリ骨材反応の被害が報告されているものと思われます。


さて、アルカリ骨材反応を起こした躯体は解体して建て直すことが一番の解決法ですが、マンションなどはそう簡単に建て直すことはできません。


もし、マンションでアルカリ骨材反応を発見した場合、速やかな補修と定期的な観察が必要となります。
では、普通のクラック(ひび割れ)とアルカリ骨材反応のクラックはどのように見分ければ良いのでしょうか?


まず、アルカリ骨材反応が進んだ躯体では、急速に内部の鉄筋が錆びるため、躯体のひび割れから赤茶色の錆び汁が流れ出てきますが、できれば錆び汁がでる前に早期発見したいものです。



アルカリ骨材反応のひび割れの特徴としては、コンクリートのクラックが亀甲状ではなく、縦軸方向に沿って起こることが多いということです。


また、通常のコンクリートの収縮率に比べ、アルカリ骨材反応の収縮率の方が大きいため、アルカリ骨材反応のひび割れ幅が大きく、割れ目に段差を生じることがあります。

また、雨がかかりやすい部分にひび割れが集中している場合は要注意です。


アルカリ骨材反応に詳しい専門家が見れば、かなりの確立でアルカリ骨材反応を見分ける事ができるという事ですので、もし不安があれば早い段階での検査をお薦めします。