アルカリ骨材反応(1) | マンション管理の部屋

アルカリ骨材反応(1)

  皆さん、アルカリ骨材反応という言葉をご存知でしょうか?



これは、コンクリートの癌と恐れられているもので、コンクリートを構成する砕石(骨材)に含まれるケイ素が、セメントのアルカリ成分と反応して、部分的に膨張やひび割れなどの劣化を起こす現象です。


阪神大震災で大破した阪神高速道路の橋脚などで問題になったもので、西日本を中心にしたマンションなどでも発生が報告されています。



高速道路

  


さて、このアルカリ骨材反応のメカニズムですが、鉄筋コンクリート造は鉄筋の周りをコンクリートでコーティングすることで、構造物に強度を持たせます。

 

鉄筋は鉄ですから、大気にさらされると当然錆びますが、コンクリートによって大気から遮断されることにより、錆びから守られ、強度を保つことができます。

 

コンクリートの材料はセメントと水、それに強度を増すために骨材と言われる砂利や砕石を混ぜて作られます。

アルカリ2  

↑色の濃い部分が骨材で、その周りがアルカリ骨材反応により膨張している。

 

この骨材がセメントのアルカリに反応して、部分的に膨張することにより、コンクリート内部にひびが発生し、そのひびが表面部分に達すると、そこから雨水などが浸透し、本来錆びるはずのない内部の鉄筋に錆びが生じ、コンクリートの強度が著しく損なわれるというものです。

 

動物の体細胞が異常増殖し、最終的に機能不全を起こす癌と同様に、コンクリートの癌と言われる所以です。

 

アルカリ骨材反応に冒された躯体は、内部の鉄筋がロボロに錆び、いわば骨抜き状態になってしまいます。

 

アルカリ1  

では、このアルカリ骨材反応がなぜ西日本を中心に広がっているのでしょうか?

これには、わが国の高度経済成長期の骨材調達政策に溯らなければなりません。

 

次回は、アルカリ骨材反応が発生するようになった原因について記載します。