団地自治会からの脱退は可能か?(1) | マンション管理の部屋

団地自治会からの脱退は可能か?(1)

最高裁


↑皇居の程近く、東京千代田区隼町にある最高裁判所の建物です。

 

公営住宅の住民が自治会から退会できるかどうかが争われた訴訟で、最高裁判所第3小法廷は4月26日、退会を原則的に認めないとした1、2審判決を変更し、退会の自由を認める判決を言い渡しました。

判決では「団地の自治会からは一方的意思表示で退会できる」との始めての判決を示したもので、住民側の一部勝訴が確定しました。


ご存じでない方のために補足しますが、日本の裁判制度は三審制を取っていて、裁判所が間違った判断をしないように、当事者が判決に不服がある場合は、一つの事件を3回までやり直すことが認められているのです。


通常、
1回目(第一審)=地方裁判所(東京地裁など)


2回目(第二審)=高等裁判所(東京高裁など)


3回目(第三審)=最高裁判所  となります。


第一審から第二審に行くことを「控訴」といい、第二審のことを「控訴審」といいます。


また、第二審から第三審に行くことを「上告」といい、最高裁判所で出された判決は最終決定となります。


ですから最高裁の判決が出たということは、類似する裁判での手本となるべき判例が出たということで、非常に重みのあるものです。

この事件は埼玉県新座市の「埼玉県営住宅本多第二団地」に98年に入居した男性が、自治会役員に不満を持ち、01年に当該団地の「けやき自治会」に対し、退会届を提出。


その後は毎月の共益費2700円と自治会費300円を納付しませんでした。

このため自治会側は退会届を無効として2年分7万2000円の支払いを求めて提訴していたものです。


さいたま地裁は04年1月、 「やむを得ない事情が無い限り退会は無効」と判断し、東京高裁(04年7月)も「居住者全体の利益を損なう」として退会を認めませんでした。


同自治会が別の住民を相手取った同種の訴訟では、東京高裁(04年5月)が退会を認める判決を出し、同じ団地を巡る2つの訴訟で判断が分かれていました。


最高裁判所第3小法廷では「自治会は会員相互の親睦を目的として設立されたもので、退会制度の規定もなく、退会申し入れは有効」と述べ、退会届提出後の自治会費(毎月300円)の支払義務は無いとした。ただし、共役費について「県住宅供給公社が入居者に自治会への支払いを指示している」として男性に支払いを命じたものです。


さて、まず間違えてはいけないのは、この裁判は県営住宅の自治会の脱退について争われたもので、分譲マンションの管理組合や町会などの地縁団体とも異なるという点です。


まず、マンションの管理組合は、法律上区分所有者は当然管理組合に加入することになり、これは強制ですから、自分だけ脱退するようなことは認められません。


一方、町会などの地縁団体は自由参加です。

例えば、住まいを購入したり、民間の賃貸住宅を借りる際に、「居住者は○○町会へ加入すること」などと言う契約を結びませんよね。


町会に入らないと言うと、近所で陰口を言われるかも知れませんが、法的に強制されることはありません。


では、今回の県営住宅の自治会はどのような位置付けになるのでしょうか?


次回はこのあたりを掘り下げて考えてみたいと思います。