個人情報保護法(4) | マンション管理の部屋

個人情報保護法(4)

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個人情報保護法は個人情報を事業として取り扱う「個人情報取扱事業者」(以下「事業者」と省略して記載します)に対して、いろいろな義務を課すことにより、個人情報を保護することを最大の目的としています。

 

前回までは立法の背景や、用語の定義などの説明をしてきましたが、今回から「事業者」の義務について解説していきましょう。

 

利用目的による制限等(個人情報に関する義務)
「事業者」は個人情報を取り扱うに当たって、利用目的を出来るだけ特定しなければなりません。

単に抽象的、一般的に特定するのではなく、出来る限り具体的に特定しなければならず、その利用目的の達成に必要な範囲か否かを実際に判断できる程度に明確にしておく必要があります。

 

では、「事業活動に用いるため」というのは利用目的を特定しているといえるでしょうか……?

 

これは、具体的に事業活動を特定していない例として紹介されています。

 

管理組合の場合は、一般の企業等の事業活動と異なり、その活動の範囲がもともと限定されていますが、法律はできるだけ特定せよと言っているのですから、単に「管理組合運営のため」では足りず、 「管理組合名簿・入居者名簿の整備」、「総会の招集通知」、「管理費等の請求」などと利用目的をはっきりさせることが望まれます。

 

利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱う場合は、あらかじめ本人の同意を得なければなりません。

 

適正な取得等(個人情報に関する義務)


「事業者」は偽りや、その他不正な手段で個人情報を取得してはなりませんし、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、取得後速やかに、その利用目的を本人に通知するか、又は公表しなければなりません。

 

また「事業者」は、本人から直接書面に記載された個人情報を取得する場合には、あらかじめ本人に対し、その利用目的を明示しなければなりません。

 

管理組合は、区分所有者から直接入退去届や駐車場使用契約書を受取るなど、個人情報が記載された書面を受領することを日常的に行っていますが、そのような場合には、その書面自体に、あらかじめ利用目的を記載しておくなどの措置をとっておくと良いでしょう。

 

さて、次回は「個人データに関する義務」について解説します。

 

※個人情報保護法では個人データが5000件未満の事業者は適用除外となりますので、一般的なマンション管理組合は同法の対象にはならないと思われますが、立法趣旨を尊重し、あくまで個人情報保護法に則した対応を取ることを前提に記載しております。