マンション管理の部屋
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エレベーター業界

皆さん、こんにちは。

春ごろから色々と忙しくなってしまい、ブログの更新が随分止まってしまい、申し訳ありませんでした。

これから、徐々に再開していきたと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。


さて、更新をお休みしていた間にもマンションに関するニュースは沢山ありましたが、何といってもショッキングだったのは、シンドラー社のエレベーターによる死亡事故です。

今更説明するまでもありませんが、東京港区の住宅公社マンションで高校2年の市川大輔さん(16)がエレベーターに挟まれて亡くなった事故です。


この事故の原因についてはシンドラー社のエレベーターに欠陥があったのか、保守管理を行ったSECエレベーターに問題があったのか、まだ明確ではないようですが、このエレベーター業界というのは非常に特徴的なので、少しお話しします。


まず、エレベーターの主な製造メーカは、

・三菱電機

・日立製作所

・東芝エレベータ

・日本オーチス

・フジテック

・シンドラー

などですが、新築工事の際、各社は激しい受注競争にさらされるので、設置時点ではあまり利益が上がらず、原価ギリギリで受注することも多いようです。

エレベーター各社の狙いは、工事では利益が出せなくても、その後の保守管理契約で長期間にわたり安定的な利益を獲得することにあります。


だから、今まではエレベーターメーカー=保守管理会社という構図が決まっていたのです。

エレベーターメーカーは、この保守契約市場を死守するために、メーカー以外で保守のみを行う会社(これを独立系といいます)に対して、修理部品の供給を制限するなどの対策を行ってきました。


メーカー系にしてみれば、赤字ギリギリで設置工事を受注して、やっとこれから保守で利益を回収しとうと思ったら、独立系においしいところだけをさらっていこうとする訳ですから必死です。

でも、これを自動車業界に当てはめると、メーカー系のディーラーでなければ自動車の修理や車検ができないことと同じで、非常に閉鎖的で問題がありますね。

当然、エレベーター業界でも問題があるということで、公正取引委員会から「部品の供給を阻害することはいけない」という注意を受けました。

これで勢いがついたのが独立系で、メーカー系に比べて非常に安い値段で、メーカー系の保守契約をどんどん奪っていきました。

そのような一社が、今回の事故で保守を行っていたSECエレベーターなのです。

車やバイクは誰でも保守点検ができるように、メーカーが「サービスマニュアル」という詳しいマニュアルを提供しますが、エレベーター業界はこのように閉鎖的な業界だったので、シンドラーのものは入手できなかったと報道されています。


では、次回は管理組合にとってエレベーターの保守管理をどのように考えるかについて勉強してみましょう。

内なるリスク(4)

日経新聞の連載特集「マンション誰のもの」の第5弾、『内なるリスク』をご紹介しています。

今日は第4回目、最終回です。


(以下新聞記事)

マンションが抱える問題と正面から向き合い、住民主導で解決に取り組んでいる管理組合がある。川崎市の等級田園都市線宮崎台駅前にある「宮崎台プラザビル」(135戸)だ。

理事長の三好章一さん(59)は「このマンションは沿線のシンボル」と胸を張る。理事長のもとに幾つもの委員会を設置し、様々なトラブルや課題への対処法を協議。違法駐輪に悩まされた時は有料のラベルを発行し、貼っていない自転車は撤去する方針を打ち出した。

駐車場が足りないとなればテナントの銀行と粘り強く交渉し、顧客向けだったスペースの7割を住人用に転換。防災訓練は地震の揺れを体験できる専用車を借りてくるほどの熱の入れようだ。


1年半前までは他のマンションと同様、組合活動は低調だった。住民意識が変わったのは管理会社の変更がきっかけだ。長く等級コミュニティーが務めていたが、前理事長の小林重行さん(67)が「サービスに比べて委託料が高くないか}と見直しを提案。

理事就任は3回目という小林さんはこれまで仕事が忙しく、何もできなかっただけに「今度こそ」と自ら改善に乗り出した。

まず、全戸にアンケートをして意欲的な住人を組織。管理費削減協会(東京、北区)に相談して管理会社を代えたうえ、清掃や植栽など個々の業務は組合が業者を直接契約する方式に切り替えた。その結果、年間3千万円かかっていた維持費は3分の2に減少、住人が支払う管理費も3割引き下げることができた。

一人が動けば変わる、という自信がその後の改革を後押しする。「耐震強度偽装問題は自分が暮らすマンションに関心をもってもらう好機」。小林さんから理事長を引き継いだ三好さんは女性の理事を増やし、住人間の意思疎通に気を配る。

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長い年月をかけ、荒廃した状況から住人自らの手で再生したマンションもある。東京・杉並区ノガーデン掘ノ内住宅(238戸)だ。現在はきれいなったが、かつては「ゴミが散乱し、エレベーター付近で小用を足す人がいるほどだった」と管理組合理事長の日高三郎さん(69)は振り返る。

事態を改善するカギとなったのは駐車場だ。かつては4世帯につき1台分しかなく、使用料が格安だったこともあって、駐車スペースのない住人には「不公平だ」という不満が渦巻いていた。敷地内の樹木帯をつぶして拡張しようにも、住人に加え近隣からも反対の声が上がり、動けない。

そこで日高さんらは住人に敷地の白地図を配り、駐車場の配置も含めた土地の有効利用昨を提案してもらった。その後も「何台分必要か」「料金はどの程度にするのか」と細かくアンケート。最終的には緑を減らすことなく駐車場を3倍に広げ、使用料は3倍強に引き上げる案を作り上げた。

解決には6年を要したが、駐車場の増収分は建物改修の貴重な財源となり、マンションは「見事にきれいになった」(日高さん)。

「相互理解と相互協力のなかで住むようにします」
日高さんらh2003年。全国でもまれな「住宅憲章」を策定。マンション自治の確立に今も挑む。


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耐震強度偽装問題でも露呈したが、欠陥マンションなど各地で相次ぐトラブルの背景には業者のモラルの欠如や法制度の不備がある。住人は「隣人は他人」「管理組合は形だけ」という行動様式では自らを守れない。

昭和の高度成長の波に乗り、急速に増えたマンション。
その歴史は決して長くないが、そろそろ住人が自治意識を高め、自らの暮らしを守るという新たな「マンション文化」を確立すべき時期にきている。




内なるリスク(3)

日経新聞の連載特集「マンション誰のもの」の第5弾、『内なるリスク』をご紹介しています。

今日は第3回目です。


(以下、新聞記事)

「キツネにつままれたようだった」。

神奈川県相模原市の鵜野森団地管理組合の神原茂理事長(71)は2001年5月、臨時総会で突然明らかにされた巨額横領事件を振り返る。経緯はこうだ。

1999年10月に着任した元理事長が翌年の4月から01年1月にかけ、修繕積立金の定期預金から7回にわたり無断で約1億1千万円を引き出し、横領。一度に3千万円もの現金をおろしたことが2度もあった。

事件のきっかけは会計責任者の引越し。保管していた印鑑を元理事長に預け、印鑑と通帳を同一人物が管理する事態になった。むろん、暖地の資産を管理する理事会は通帳を渡すように働きかけた。

だが「弁護士に預けている」「もう少したてば数十万円の利子がつく」といったその場しのぎの言い訳に翻弄され、チェック機能が働かなかった。

元理事長の言いなりに任期を1年から2年に延長、被害拡大を招く結果となった。実は元理事長はマンションの区分所有者ではなく、借家人だった。管理規約で借家人の理事就任は許されていなかったが、誰も文句を言わなかった。

「なり手がいなかったのもあったが、私を含めほとんどの住人が規約を読んでいなかった。管理への関心が薄すぎました」。神原理事長はくやむ。

同団地には約300世帯が入居し、監視の目には事欠かなかったはずだが、事件前まで総会の出席者は約30人。神原理事長も事件発覚時の臨時総会への出席が、30年以上の団地住まいで初めて。

「それまでは平穏だったので…」元理事長は逮捕されたが、被害額は一銭も戻っていない。

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マンション管理の相談業務を行う特定非営利活動法人(NPO法人)「日本住宅管理組合協議会」。
月100件ほどの相談件数のうち、約4割が組合の運営方法を巡るものだ。

「長く務めた理事長の独断がひどい」「理事長支持派が好き勝手をして困る」。そんな悩みがこの1ヶ月余りで目立って増えた。「耐震強度偽装問題を契機に、マンション管理への参加意識が芽生え始めた一つの証ではないか」(同協議会)というが、今も「我関せず」という住人が多数を占める物件が多いのも事実だ。

「むなしいというか、腹立たしい」。
東京・荒川区の隅田川沿いのマンションで暮らす早川清さん(56)は吐き捨てる。

先日、管理組合の臨時総会が開かれたが、早川さんが求めていた管理会社の変更案が完全に無視されたからだ。

早川さんが組合運営に疑問を抱いたのは修繕工事がきっかけ。業者の選考過程が住人に十分しらされず、理事長に問い合わせてもなしのつぶて。思い余って疑問点を書き連ねた紙を各階のエレベーターホールに張り出したが、理事長名で厳重注意の文書が送られてきた。

総会前には独自に他の管理会社に見積もりを取り、各戸にその結果を配布して臨んだ。管理費を削る代わりに今後の修繕にまわすよう訴えるつもりだったが、結局その努力は空回りに終わった。


理事長のなり手を見つけることすら毎年苦労するだけに、「面倒なことにはかかわりあいたくない」という空気が潜む。

「大根1本を買う時に生産地を確認する人が、数千万円も支払うマンションでは人任せになってしまう。弁護士や建築士らとグループを立ち上げて独自の相談会活動に取り組む禰宜(ねぎ)秀之・江戸川区マンション管理士事務局長(44)は指摘する。

強度偽装が発覚したマンションの住人の多くは、今も不安な生活をしいられている。予期せぬトラブルはどこに潜むかわからない。その時点に「無関心だった」では遅すぎる。



以下次回

内なるリスク(2)

日経新聞の連載特集「マンション誰のもの」の第5弾、『内なるリスク』をご紹介しています。

今日は第2回目です。


(以下新聞記事)


横浜市港南区にあるマンションの管理組合のもとに3月、一通の書類が届いた。

「組合の理事会に出席することは困難」と理事への就任を断る内容で、差出人として外資系信託銀行の代表取締役名が書かれていた。

この信託銀行は最近、マンションの4割にあたる賃貸部分を分譲主から一括購入した。管理規約では「大口の区分所有者は理事を務める」となっている。

だが、銀行は管理組合のことなど念頭になかったのだ。登記上は銀行が区分所有者だが、実際は不動産を管理運用するだけという信託受益権方式での取引だった。受益権をもち賃貸収入を得る実質的なオーナーは、別の不動産投資会社である。

銀行側は「顧客である投資会社の指示で管理・処分するだけなので、理事もその顧客から出したい」と主張するだけ。規約改正を求めることすらなかった。
銀行も投資会社も、マンションの収益を得る道具でしかない。

「どこまで日々の管理に気を配ってくれるのか」
「安値で転売されたら自分たちの部屋の資産価値も落ちる」


結局、あくまで銀行の代理人と位置づけたうえで投資会社の理事就任を認めることで決着したが、個人所有者の不安は尽きない。


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住人でも所有者でもない投資家がマンションの将来を左右する。

区分所有法でもマンション管理適正化法でも想定していない、こんな事例が増えている。

首都圏のマンション供給ラッシュを支えているのは、こうした投資会社や生命保険会社だ。

金融商品としてしかみない法人と、『終の棲家』として終生暮らす個人はどう付き合えばよいのか。
一つの法人が名実ともに区分所有者なのに、個人所有者ともめるコースもある。

例えば東京、北区のあるマンション。ここでは修繕積立金お負担を巡って、大口所有者の企業と個人の所有者が対立している。

「積立金の未払いがこの7年間で3千万円を超すのですよ」

管理組合の元理事長、窪川雅夫さん(仮名、66)は書類を手に訴える。
通常、汚水配管設備や集合アンテナなど住人が共同で使用する部分の補修費は各戸の部屋の広さに応じて負担額を決め、あらかじめ積み立てる。だが、マンションの1、2階部分を所有している不動産会社が支払いの一部を拒否しているのだ。

不動産会社にも言い分はある。
このマンションの場合、1、2階の法人部分と3階から上の住宅部分は、同じ管理会社相手ながら、別々に管理委託契約を結んでいる。

このため、修繕工事の負担も法人部分と住宅は別勘定だと主張。3階以上の住人が主に使うエレベーターの保守費うあ玄関ホールの修繕費などは「会社が支払う対象ではない」と積立金の支払い要求を受け入れなかった。この点、管理規約の内容もあいまいだ。

マンションは来年3月に次の大規模修繕工事を予定している。住民と不動産会社は現在、改めて協議中。会社側も歩み寄りの姿勢はみせているが、「問題が長引くようなら、訴訟も辞さない」と窪川さんは話す。


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隣同士とはいえ、個人と法人では利害が一致しないことも多い。ただ耐震強度の偽装のような問題が起きた場合は、資産価値の維持や安全性の確保という共通の課題が生まれる。その意味では運命共同体でもあるわけだ。

うまくやれるかどうかのカギとなるのはマンション運営の憲法となる管理規約である。ここの事情を踏まえ、明確なルールを作り上げることがトラブルを抑える近道になる。


さて、記事の中で信託受益権というものが出てきましたが、これはどのようなものでしょうか?

例えばマンション投資をしようとする場合、自分で実際にマンションを購入して、それを不動産屋を使って人に賃貸して利益を得る方法があります。


これに対し、信託受益権方式というのは自分でマンションを買うのではなく、信託銀行と信託契約をして、家賃等の収入だけを受益権という形で受け取るものです。


だから、自分で会社を経営するのではなく、株に投資をして配当などの利益だけを受け取る株主に似た取引と考えていただいてよいと思います。


そもそもマンションのルールはそこに住む目的を同じ人達で管理をしていくということを前提にしていますから、賃貸化が進んだり、信託方式による区分所有者が増えると、大きな問題になります。


信託受益権というのも「資産の流動化」に伴って生まれた新しい取引形態ですが、世の中の商取引は目まぐるしく変化していますから、マンションの問題も常に世の中の流れを敏感に察知して、対応しなければなりません。

内なるリスク(1)

日経新聞の特集記事、「マンション誰のもの」の第5弾です。

今回のテーマは『内なるリスク』

今日から4回に分けてご紹介していきます。


(以下新聞記事)

「最後は訴えるしか手がないのか」

さいたま市浦和区のマンションを所有する上川信吾さん(仮名、66)は憂鬱な思い出日々暮らしている。

上川さんがバルコニーや屋上に走る無数のヒビをはじめて見つけたのは築後2年たったころ。


購入時、品質保証(アフターサービス)期間は無料で修理するという説明を受けたことを思い出し、業者に連絡すると「基準に応じて対応します」という返事がきた。


だが、業者からはその後、一向に連絡が無い。しびれを切らして再び催促すると、担当者が見に来たが「これは毛細亀裂だから対象外です」と補修を断られた。

納得できない上川さんは管理組合名で「毛細亀裂とは何ミリ以下のものなのか」と質問状を送付。
すると返ってきたのは定量的なものはありませんという「人をばかにしたような」書面だった。

管理会社に相談しても、分譲業者の子会社だから腰は重い。
そんな時、耳にしたのが姉歯秀次元建築士による耐震強度偽装問題だ。
あわてて組合にある書類をチェックすると、購入時には見過ごしていた一枚の紙が出てきた。


偽装を見逃していた日本ERIが上川さんのマンション工事で中間検査を担当したうえ、行政から検査に不備があると注意を受けていたことを示す内容だった。

「うちは本当に大丈夫なのか」。
上川さんの不安は募る。


耐震強度偽装問題の発覚でマンションの安全性に不安を抱く人が増えているが、分譲業者や管理会社が誠実に対応するケースは少ない。
特に、通常は最大10年間という品質保証期間内に業者が機動的に動くことはまず無いのが実情だ。
住民の苦情の強さや団結力を探りながら、少しでも対処を先送りしようとする業者が多い。

その一方で、築後10年経つと業者の対応は大きく変わる。

品質保証や瑕疵(かし)担保責任期間が終われば、修繕費は住民の負担になるからだ。

「このままだと大変なことになりますよ」


さいたま市南区のマンションで暮らす京本卓さん(仮名42)は管理会社の担当者から建物診断のデータを示され、愕然とした、

コンクリートの状態が極端に悪い。

一部ではあるが、崩落して鉄筋がむき出しになっている個所もあった。

だが、ここで京本さんは思い直す。
そもそも、この診断は「築10年近くたつから」と管理会社が提案した大規模修繕工事がきっかけ。
修繕用の積立金2千数百万円を丸々使い、外壁から設備、屋上の防水まで全面的に手を入れる内容だった。

「こんなにひどいなら欠陥マンションでは」

京本さんが細かな内容を問い詰め、管理会社の親会社である大手分譲業者との直接交渉を申し入れると、管理会社の担当者はうろたえ始めた。

第三者の意見を聞こうと、知り合いの設計事務所に調査を依頼すると「明らかに過剰修繕で実際は400万円程度で済む」ことが判明した。
結果を管理会社に突きつけると、一転して「別の業者に委託したから間違った」と診断データや修繕案を撤回。分譲業者が直接直すことになった。

このマンションは構造自体には問題がなかったが、ずさんな工事や責任のたらい回しなど、今回の強度偽装問題に通じる業界の体質が浮かび上がる。
施行不良を逆手にとって新たな工事を提案する悪質な事例だが、決して珍しい話しではない。

マンションの安全性が不安なら第三者に診断してもらう方がいい。
新しい物件で不備が見つかったら分譲業者などに修繕を求めよう。
業者と渡り合うその時、住民はどこまで団結できるか。


以降、次回


全国の10世帯に1世帯はマンション

全国の10世帯に1世帯はマンション購入世帯に(東京カンテイ)
東京カンテイの調べで、世帯数に占めるマンション戸数の割合を示す“マンション化率”は2005年の供給の結果、2004年の9.98%から10.19%と、初めて10%を超えた。全国で約10 世帯に1世帯以上の割合でマンションを購入し、居住しているという状況だ。

2005年に日本全国に供給された新築マンションは15万9199戸で、2004年の14万5523戸から1万3676戸増加した(対前年比109.4%)。全国供給のピークである2000 年の18万3784戸からは2万4585 戸(13.4%)減少しているものの、2000年以降4年連続の減少傾向には歯止めがかかり5年ぶりに増加に転じた。

2005年は首都圏の供給量が減少しているのに対し、近畿圏では大幅増加、中部圏でも増加するなど、大都市圏でも供給戸数にそれぞれ変化が生じている。近畿圏(2 府4 県)では同比10.0%と大きく増加し、中部圏(4 県)でも同比2.3%増加している。

全国で最もストック数が多い東京都は、2005年の供給が2004年から約1万戸減少したが、総ストックが約130万戸まで増加したため、約586 万世帯に対するマンション化率は22.09%と依然としてマンション化が進んでいる状況。2005年には神奈川県もマンション化率が初めて20% を超えた。東京都に次いで2 番目のことで、神奈川県もマンション化の進展が早い。

首都圏(1 都3県)のマンションストック数は約274万戸に達し、マンション化率も約1459 万世帯に対して18.78%となった。近畿圏のストック数は117 万戸となり、マンション化率は約837 万世帯に対して14.01%。中部圏では約28万戸と愛知県のストック数が突出して高く、マンション化率は約267万世帯に対して10.67%と拡大した。ただし中部圏全体のマンション化率は6.87%に留まっている。

マンション化率は、各行政単位の世帯数に対するマンションストック数の割合。単純に何世帯に1世帯の割合でマンションを購入して住んでいることになるかを示している。



とうとう、1割の世帯がマンション暮らしという時代になりました。

首都圏や都市部に住んでいる人たちからすると「自分の周りはほとんどマンション住まいなのに、まだ1割なの?」と感じられるかもしれませんが、これは全国の世帯に対する割合ですから、すごい数字だと思いますよ。

私は埼玉県在住で、近所には確かに多くのマンションがありますが、以前東北新幹線に乗って仙台方面に向かっていたとき、車窓を眺めていると大宮からしばらくはマンションが多く建っているのですが、15分も走るともうほとんどマンションなんかありません。

その時はつくづく「マンションは都心部や周辺のベッドタウンに密集しているだけで、少し離れると少ないものだなぁ」と感じました。

まあ、マンションにする目的のひとつは「地価が高いから」なので、当然といえば当然ですが・・・・。

マンション生活者が増えるということは、トラブルになる可能性も増えるということなので、マンション管理というものが益々重要になってくるのではないでしょうか。

耐震と免震と制震

このところ姉歯元建築士による耐震偽装問題で、この「耐震構造」という単語をよく目にするようになりました。似たような単語で「免震構造」や「制震構造」というものがありますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか?何となく分かっているようで、よく分からない用語の違いについて見て行きましょう。

この「耐震」「免震」「制震」はいずれも建物を地震や台風などの揺れから守る仕組みだということは、「震」という文字から想像でます。

1.耐震構造(たいしんこうぞう)
まず、「耐震偽装問題」などに使われる「耐震」という用語ですが、まさに揺れに耐えるための構造で、柱や梁などで建物に強度を持たせるものです。


従来からある建物の耐震構造は、次の2つです。

剛構造(強度指向型)
地震の揺れを建物がしっかり受け止めるように、柱や梁などを強固にして、建物が変形せずに建物全体が揺れる構造のことをいいます。地面の揺れにともなって建物が揺れるので、建物が高いほど、上層階の揺れが大きくなることがあります。

柔構造(靱性指向型)
建物がしなやかで柔らかい構造。骨組みにかかる力が小さく、超高層ビルに多く採用されています。地震時には揺れに抵抗せず、地面が揺れると下の階から時間差で揺れ、地面が逆方向に揺れてもまた、下の階から動いて地震のエネルギーを吸収します。ただし、建物の変形が大きいために、内外装などへの配慮が必要となるでしょう。


短い棒なら硬くすることで丈夫になりますが、棒が長くなると折れてしまうので釣竿のようにしなやかにしようという考えです。


2.免震構造(めんしんこうぞう)

免震

免震構造とは、地震の揺れを建物と地盤の間でシャットダウンする構造のことで、実際は建物の基礎部分に巨大な積層ゴムでできた免震装置を挟んで揺れを吸収するものです。

テレビなどの下に柔らかいゴムの板をおいて地震の時に倒れないようにする防災グッズがありますが、これと原理は同じようなものです。
これにより地震の揺れが3分の1程度に提言されるといいます。

免震装置を設置するにはそれなりのコストがかかりますが、逆に揺れが小さくなる分、建物の耐震性をそれほど強くする必要がないため、姉歯問題ではありませんが普通よりも柱を細くしたりすることにより、建築費をセーブすることができます。

一般的には免震装置設置によるコストアップと、これに伴う耐震構造のコストダウンで差し引き数パーセント程度建築費増となるようです。

ただし、ゴム製の免震装置の寿命は50~60年と言われており、もし交換する場合には相当な費用がかかりますので、マンションの躯体の寿命がそれ以上となる場合には検討が必要です。


3.制震構造(せいしんこうぞう)

制震装置
外見上は耐震構造と変わりありませんが、建物に取り付けた制振機構(ダンパーなど)によって、強風の時や地震の時に建物の揺れを小さく抑えることができる構造を指します。建物の(層間)変形を小さくして、構造躯体(柱、梁など)への深刻な被害を軽減することができます。ほとんどのものがメンテナンスを必要としません。また別に、機械的な制御などを行う制振構造という考え方もあります。

具体的には屋上部分に重りを置いて、地震が起きた時には振り子の原理で揺れを抑えたり、骨組みの部分に油圧ダンパーなどを挟んで揺れを吸収したりと様々な方法があります。
建築コストは免震構造に比べて低く済みますが、揺れの軽減度合いは免震構造ほど大きくないといわれています。






ねだんの力学

少し前の日経新聞に「ねだんの力学」という特集記事があって、その第5回目にマンションをテーマとしたものがありましたので、ご紹介したいと思います。

昨今の耐震偽装問題などを考える上でも参考になると思います。


(以下新聞記事)

バブル崩壊後、下落を続けていたマンションのねだんが反発の兆しを見せている。
都心部の地価上昇をうけ、コスト上昇分を販売価格に反映させようとの機運が開発業者に広がり始めたためだ。

千葉県の東京メトロ浦安駅近く、首都圏有数のマンション激戦地にライバル企業の二棟の物件が隣り合う。ともに土地購入は2003年。
04年春に分譲を始め、昨夏完成した南側の物件は3.3平方メートルあたりの販売価格(坪単価)が125万円だった。

一方、05年春に販売を始め今夏完成する北側の物件は160万円。
80平方メートルの部屋で試算すると850万円も価格差がある。
開発業者は「地価上昇で価格の先高観が広がり、強気の根付けができた」と明かす。

マンションは立地や広さ、間取りなど価格の変数が多く、根付け手法も業者間で異なる。
ただ、周辺物件の値段や金利が左右する消費者の「相場観」は共通の条件。
地価動向にやや遅れて動くこの相場観が、全国マンション供給戸数の半数以上を占める首都圏でようやく上昇に転じつつある。

土地高に加え近年は建築用鋼材も高騰。昨年発覚した耐震強度偽装事件の影響で、建築コストを上げてでも安全性を確保する動きも広がる。
マンション業者は相場観の上昇を浮力として、価格値上げの機会をうかがう。

ただ、サラリーマンが組める住宅ローンの総額は世帯年収の5倍が目安。
微妙なさじ加減を誤ると需要に水をさす。

都心部ではマンション好適地の需要逼迫(ひっぱく)で用地代が想定外の高さになるケースも多い。

東京建物は昨年2月、東京都目黒区の土地・建物を路線価の3.4倍にあたる62億2000万円で落札した。一般的なマンションを建てるとコストからの逆算で坪単価が30万円前後と、大手戸建ての2分の1の場合もある。

埼玉県のJR川口駅から徒歩5分。今月下旬にセコムホームライフと藤和不動産が売り出すタワーマンションは平均専有面積80平方メートルで中心価格帯は5000万円前後。駅から10~15分ほどの場所には、パワービルダーが延べ床面積100平方メートル規模の新築物件を3000万円台後半から4000万円台後半で販売している。
マンション業者は1部屋の専有面積を縮小して表面価格を抑えるなど、対抗策に知恵を絞る。

1991年以降、昨年までに首都圏で40%の坪単価下落を目の当たりにした消費者の相場感は上昇ペースも緩やかになりそう。
異なる力学が働く都心部と郊外での二正面作戦に業者が追われる中で、双方の価格差がじわじわと拡大する可能性が高まっている。


セミナー報告

皆さんこんばんは。寒い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。

昨日の夜、ちょっと飲んで家へ帰る途中、あまりの寒さに息が止まりそうでした。


さて、今日は埼玉県マンション居住支援ネットワークが主催するマンション管理セミナーに出席してきました。

セミナーではNPO法人である『匠リニューアル技術支援協会』の代表理事である毛塚宏さんの講演がありましたので少し紹介したいと思います。


この『匠リニューアル技術支援協会』は、


①リニューアルに関わるちゃんとした知識と技術を身につけた技術者、職人の育成

②賢い消費者の育成

③双方の出会いによる確かなリニューアルの実現


を理念とした団体だそうです。

リニューアルを行う会社や団体というよりも、技術者や職人一人ひとりに着目したということです。
確かに『企業は人なり』といい、いくら大きく信用の高い会社でもひどい担当者がいることもありますし、その逆もあります。

簡単にいえば『良い職人さんを増やそう』といったところでしょうか。

これから団塊世代が退職を迎える中、多くの優秀な技術者もこれに含まれていると思われますので、是非取り組みを進めてもらいたいものです。

講演の中で《長寿命化を潮流に》という話しがありました。
平成15年末時点のマンション戸数は447万戸、国民の約1割が居住している計算です。そして、マンション居住者の5割弱が永住派といわれています。

マンションの法定耐用年数は47年とされていますが、実際老朽化で再建されたマンションの平均寿命は37年で、法定耐用年数より早く建て直されています。
要するに平均寿命より早死にだということです。

マンションの建て替えには多くの費用と手続き、困難な合意形成を必要とされ、また実際の解体では多くの産廃が発生しますので、やはりスクラップ&ビルド(直して長持ちさせるより、解体して建て直す考え方)ではなく、長寿命化を考えて行かなければいけないということです。

特に重要なのは長期修繕計画の作成で、なんでもいいから計画があればよいという訳ではなく、ちゃんとそのマンションの実態に則した、また一定の期間で見直しをされた計画管理が重要とのことでした。


その他にも色々なお話しがありましたが、最後に

『賢い消費者になるための「5つの脱」』というものをご紹介します。


①脱羅針盤なき航海

  管理のよりどころとなる管理規約や諸規則などが関連法制度の動向も勘案

  しながら適切にみなおされ  ているかどうか。


②脱おまかせ主義

  大事な管理の問題を管理会社や理事会などにお任せになっていないか?

  管理の主役は一人ひとりの区分所有者であるはずなのに、他人事のように

  考える観客型区分所有者は多くないか?

③脱共私混同 

  共有と私有の区分の無理解がいたずらに混乱を招いていないか。

  共有意識を培うことが暮らしを変えるモメントにもなるという認識が持たれて

  いるかどうか。

④脱看板頼み

  大手だから、有名だから、今まで問題なかったからとイージーに管理会社や

  施行会社を選んではいないか。そのために管理費や修繕積立金も無駄遣い

  がされていないかどうか。

⑤脱無計画な運営

  目前の問題やトラブルに目を奪われ、時には翻弄され、中長期的な観点から

  管理を捉える捉える視点をおざなりにしていないか。


2月中ももう一度、『匠リニューアル』のセミナーがありますので、またご紹介します。

ではまた。

マンション販売業者『保険加入義務付け』

マンション販売業者

保険加入義務付け(欠陥補償を確実に)


1月28日の日経新聞朝刊に、マンションの販売業者に保険加入の義務付けを検討しているという記事がありました。


以下、新聞記事


国土交通省は分譲マンションの売り主に、欠陥が判明した場合に補修や建て替えの費用を負担する保険への加入や銀行保証の設定を義務付ける方針を固めた。

耐震強度偽装を踏まえ、売り主が必要な資金を確実に拠出できるようにする。
第三者が住宅の品質を評価する住宅性能表示制度に基づいた情報開示も義務付ける。

社会資本整備審議会(国交省の諮問機関)基本制度部会の中間報告に対策を盛り込み、今通常国会で住宅品質確保促進法の改正を目指す。2007年にも施行する。

分譲マンションの売り主は購入者に引き渡し後10年間は、欠陥を自らの責任で回収する瑕疵(かし)担保責任がある。今回の耐震偽装事件では、建て替えや補強工事にかかる費用はヒューザーなど売り主が負担しなければならない。

だが実際には巨額の補償費用を負担しきれず、公的支援や居住者の自己負担が生じることになった。
改正法の施行後は、住宅補償機構が取り扱っている任意保険や損害保険会社の瑕疵担保責任への加入、あるいは金融機関による保証を求める。

保険会社などが信用力が乏しいとして保険契約を見合わせるような業者はマンションの販売ができなくなる。マンションの購入希望者が物件の安全性を確認できるように住宅性能確認表示も義務付ける。

性能表示は民間検査機関が耐震性など構造の安定や防火など9分野を対象に等級などで評価。
4月以降、防犯に加わり10分野が対象になる。
現在、性能表示は任意となっている。

マンションは年間20万戸弱販売されているが、性能表示しているのは約7万戸、住宅保証機構の保険の利用件数は7千戸程度にとどまる。
売り主負担となる保険料などは、販売価格に上乗せされる可能性がある。

今回のヒューザーのように偽装が発覚して、会社に資力がなければ住民が泣き寝入りするようなことにならないように、販売会社に保険加入を義務付けるというものです。


このような保証制度は他にもあって、例えば宅建業では買主から一定以上の手付金を受け取る場合は手付金保証という保証をとらなければならないとか、公共工事を請け負う建設会社は履行ボンドといわれる保証を受けなければなりません。

しかし、今回いっているマンションの売主の保証というのは、対象となる金額が非常に大きく、また保証期間も10年間と長いので、相当高額になるのではないかと思います。

当然、その一部はマンションの販売価格に上乗せされるでしょうから、結局いい加減な業者や建築士のせいで消費者が馬鹿を見るということです。

与信の低い会社では保証を受けることが難しいので、工事をするゼネコンが保証を肩代わりしたりするのでしょうね・・・。多分。

そもそも、建築工事でいい加減なことをすると大変なことになるから、資格をもった建築士に設計をさせ、公的機関や準公的機関で建築の確認をするという方法をとっているのに、それが機能せず屋上屋を重ねるように保証を付けるというのはちょっと納得できませんね。

建築の確認機関に信頼がおけないなら、いっそのこと行政も民間も建築確認なんかやめて、保証を行う保険会社が自前で検査行う方がよほどしっかりしたチェックになるのではないでしょうか。

だって、もしいい加減なチェックをすれば保証を行う保険会社が大変なことになるわけですから。

どうでしょうか?


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